オレンジ服のヒーローは全力で彼女を守りたい
不意にサイレンの音が聞こえてきた。

え?もう来たの?

時間を測ってはいないけど、10分よりもずいぶん早い気がする。

近づいてきたサイレンの音はパッと消え、それから少しして複数の靴音が駆けてくるのが聞こえた。


「消防です!声聞こえますか?」

「き、聞こえます!」

「中、暑いですよね!体調はどうですか?」

「ちょっとクラクラしてて…
とりあえず大丈夫ですっでも、電気が消えててっ」


答える声が情けないくらいに震えて裏返る。


「電気消えてるんですね?」

「は、はい」

「もう少し頑張ってください!今助けます!」


よかった…ホッとして肩の力が抜ける。

ドアの前で、ガチャガチャと何かしている音が聞こえる。


「開かないな。機械室は?」

「1階だから下に落ちる心配はないし、天井のハッチからなら…」

「とりあえず非常用の電気を」


さっきは拡声器を使って話していたようで、もう声は微かにしか聞こえない。

…だけど、今『開かない』って言わなかった?

なんでもいい。早くここから出してほしい。


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