イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す
　紫はじっと考え込んでいたが、占い師を見て笑った。

　「わかりました。あなたは私のために助言しているんでしょ。なるべく逆らわずに生きていきます。そうすれば前世の人の希望もかなえられるし、今の私にとってもいいことがあるんですよね？」

　「その通り。あなたは素直でのびのびとした性格。心に柔軟性もある。その黒い大きな瞳はいずれ幸せを映すでしょう。頑張ってくださいね」

　占い師は終わりという意味で私に握手を求めた。
　一瞬躊躇したが、タダだと言っていたし、それくらいいいかと握手した。

　彼は握手した時に目を開き、じっと私を見ていたが、しばらくして会釈した。
　立ち去った私を見ながら彼が呟いた言葉は聞こえなかった。

　「お嬢さん。彼はあなたを必ずまた選ぶでしょう。決して彼から逃げないでください。彼はあなたの死後どれだけ後悔していたか。分かるときが来ます。そしてあなたの望んでいた将来がそのときこそ形になることでしょう。いくつか手を握りわかったことがありますが、それはまたの機会にね」

　ふっといなくなった占い師は二度とそこにしばらく来ることはなかった。

　
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