イケメン外科医が激しく寵愛してきます。【メイン更新中】
4.


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 事の経緯は思い出せないけれど、でも、キスがとてつもなく心地よかった事は覚えていた。


 キスをされて意識が朦朧としたことも初めてだった。そんなのドラマや漫画の中だけだと思っていたのに、久我先生からしてみたら朝飯前くらいの感覚だったんだろう。


 目を覚ました時には朝食が作られており、一人爆睡していた自分自身が惨めに思える。鮭と梅のおにぎりを一つずつと、手間がかかりそうな、ふわふわなだし巻き卵、懐かしさが思い出されるみそ汁。


 どれもとても美味しくて、定番な朝ご飯メニューに見えるけれど、久我先生は料理もできるんだなと思った。


 顔や性格まで加えて、料理も負けてしまっている。私は久我先生に勝てるところが一つもない。久我先生に急かされた状態で、お風呂に入り髪まで乾かしてもらう始末。


 むかつくけれど、こういう細かい気遣いができる人は数少ないと思う。


 電車に乗り、押し潰されそうになりながら必死に耐えていると、久我先生は私の腰に手を回し自分のところに抱き寄せた。今日だけだけれど、同じシャンプーを使っているにも関わらず、久我先生から不快にならない良い匂いが漂ってくる。


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