紅葉踏み分け、君思ふ
さっきの木刀の試合と違って刀を交わすたびにキィン!と音がする。

(この殺気・・・二人とも相手を殺す気満々じゃん!)

「はっ!」

「やぁ!」

(これどっちが勝つの?)

二人とも力と体の大きさを生かして一撃一撃重い攻撃を仕掛けている。

「はっ!」

「グッ・・・」

「そこまで!勝者、赤!」

(つまり、新八ちゃん、かぁ・・・)

いつのまにか二人を包んでいた殺気は消えて倒れていた一さんを新八ちゃんが手を貸して起こしていた。

「ふぅ、危なかったなぁ!」

(え?なんでこっち来るの?)

「かえで!俺たちすごかったよな?」

新八ちゃんに聞かれて素直に頷く。

「すごかった!・・・って一さん!怪我してるじゃないですか!」

「む?そうなのか?」

「ほら、ここ。ほっぺたの・・・」

わたしが教えると彼は自分の頬を触る。

「確かに・・・感謝する」

「どういたしまして!」

一さんはフッと微笑んでその場を去った。
< 30 / 63 >

この作品をシェア

pagetop