紅葉踏み分け、君思ふ
刹那
「明里!」
(・・・誰?明里って?)
そして、予想していた痛みもこない。
(何が、起こってるの?)
好奇心に負けて薄目で前を見る。
そこには一さんと山南さん、そして知らない女性が一人。明るい黒色の髪に鴉色の目。若緑色の着物を着ていて立ってるだけでハッと息を呑むような美しさを纏っていた。
(この人、が、明里、さん?)
「この人か?うちのかえでちゃんを傷つけたのは?」
(すごい、殺気・・・あ!思い出した!明里さんといえば山南さんと恋仲だった、って言われている人だ!あれ?でも明里さんって花魁じゃなかった?なんであんな殺気を?)
「いや、僕がかえでちゃんに・・・」
「なに?うちのかいらしいかえでちゃんがあんたを傷つけた?そんなんあらへんやろう?」
(ごめんなさい、本当です)
「あ、明里、さん。わたしは、大丈夫です」
わたしが必死に立ち上がると明里さんはクルッとわたしの方を向きわたしをあちこちなで回して怪我がないか確認し始める。
「いけるか?あの男子になんかされへんかったか?あとはうちがやるさかいいけるで」
「え、あ、はい」
わたしがかくかくと頷いてそっと悠がいる方に視線を向ける。
(あ、やっぱり)
彼は「邪魔しないでよ」と言うように顔を顰めていた。目が合うと「誰?この人?」とでも言うように顔をすくめる。
(わたしだって知らないよ!だって初対面だもん)
そんな気持ちを込めてブルブルと顔を振る。わたしの動作で理解できたのか、こめかみに手を当てる悠。
(なんか・・・敵、なはずだけど今だけ一体感?っていうの?それを感じる・・・のはわたしだけ?)
「はぁ・・・邪魔ものが増えちゃったからこれで退散するよ」
彼は今度こそこっちに背中を向けて走り出した。
「ちょい!傷一つつけへんでうちが諦める思て?」
そう言うが否やとんでもない速さで悠に近づきその背中に刀を振り下ろす!
「ぐわっ!」
悠は一瞬歩く速さが落ちたがすぐに元の速さで走り始める。
(あ、血・・・)
斬られた悠の背中からおびただしい量の血が吹き出している。さっきまで理性の力で抑えていた欲求が、飛び出す!
(ダメ・・・!)
自分じゃあもう止められない。血に向かう足を止めるので精一杯。目はしっかり地面に落ちている血に向いてるし、目の色もオーラを使いすぎた時のように、浅葱色になっているんだろう。
「かえでちゃん、もう大丈夫やろ・・・ってかえでちゃん⁉︎」
「あけ、ざと、さん」
「どないしたの⁉︎目ぇ、え⁉︎」
「血、血を飲み、ダメ、飲まない、でも、飲み・・・たい・・・!・・・っ!」
飢えた時のように喉を掻きむしってしまう。
(つ、辛い!)
「かえでさん、失礼します」
「かはっ・・・!」
いつに何か後ろにいた山南さんがわたしに手刀を食らわす。
(そういえ、ば、山南さん、いた、ね・・・)
わたしが覚えているのはここまでだ。わたしの意識はそこで途切れた。
「明里!」
(・・・誰?明里って?)
そして、予想していた痛みもこない。
(何が、起こってるの?)
好奇心に負けて薄目で前を見る。
そこには一さんと山南さん、そして知らない女性が一人。明るい黒色の髪に鴉色の目。若緑色の着物を着ていて立ってるだけでハッと息を呑むような美しさを纏っていた。
(この人、が、明里、さん?)
「この人か?うちのかえでちゃんを傷つけたのは?」
(すごい、殺気・・・あ!思い出した!明里さんといえば山南さんと恋仲だった、って言われている人だ!あれ?でも明里さんって花魁じゃなかった?なんであんな殺気を?)
「いや、僕がかえでちゃんに・・・」
「なに?うちのかいらしいかえでちゃんがあんたを傷つけた?そんなんあらへんやろう?」
(ごめんなさい、本当です)
「あ、明里、さん。わたしは、大丈夫です」
わたしが必死に立ち上がると明里さんはクルッとわたしの方を向きわたしをあちこちなで回して怪我がないか確認し始める。
「いけるか?あの男子になんかされへんかったか?あとはうちがやるさかいいけるで」
「え、あ、はい」
わたしがかくかくと頷いてそっと悠がいる方に視線を向ける。
(あ、やっぱり)
彼は「邪魔しないでよ」と言うように顔を顰めていた。目が合うと「誰?この人?」とでも言うように顔をすくめる。
(わたしだって知らないよ!だって初対面だもん)
そんな気持ちを込めてブルブルと顔を振る。わたしの動作で理解できたのか、こめかみに手を当てる悠。
(なんか・・・敵、なはずだけど今だけ一体感?っていうの?それを感じる・・・のはわたしだけ?)
「はぁ・・・邪魔ものが増えちゃったからこれで退散するよ」
彼は今度こそこっちに背中を向けて走り出した。
「ちょい!傷一つつけへんでうちが諦める思て?」
そう言うが否やとんでもない速さで悠に近づきその背中に刀を振り下ろす!
「ぐわっ!」
悠は一瞬歩く速さが落ちたがすぐに元の速さで走り始める。
(あ、血・・・)
斬られた悠の背中からおびただしい量の血が吹き出している。さっきまで理性の力で抑えていた欲求が、飛び出す!
(ダメ・・・!)
自分じゃあもう止められない。血に向かう足を止めるので精一杯。目はしっかり地面に落ちている血に向いてるし、目の色もオーラを使いすぎた時のように、浅葱色になっているんだろう。
「かえでちゃん、もう大丈夫やろ・・・ってかえでちゃん⁉︎」
「あけ、ざと、さん」
「どないしたの⁉︎目ぇ、え⁉︎」
「血、血を飲み、ダメ、飲まない、でも、飲み・・・たい・・・!・・・っ!」
飢えた時のように喉を掻きむしってしまう。
(つ、辛い!)
「かえでさん、失礼します」
「かはっ・・・!」
いつに何か後ろにいた山南さんがわたしに手刀を食らわす。
(そういえ、ば、山南さん、いた、ね・・・)
わたしが覚えているのはここまでだ。わたしの意識はそこで途切れた。