紅葉踏み分け、君思ふ

堪忍袋の尾が切れる音

次の日。目を覚ましたわたしは布団を片付けて服を着替える。ぎゅっと帯を締めておかしいところがないかを確認したあと、襖を開けて廊下にでる。

それぞれの秘密を話し合ったあと、わたしはまだ本調子ではないだろう、とすぐに休養を言い渡された。お陰て今日は元気いっぱい!

「あ!かえでちゃん!」

「総司さん!おはよう!どうしたの?そんなに急いで?」

「実は、ちょっと大変なことになって・・・とにかくぼくについてきて!」

そう言われるなり手を繋がれてどこかへ連れて行かれる。

「土方さん、かえでちゃん連れてきました」

「入れ」

ついたのは土方さんの部屋。中に入るとそこには土方さんの他に源さんと一さんがいた。

「あれ?他のみんなは?」

「時間稼ぎを買って出てくれてな」

どうやらさっきまではみんないたらしい。一体どうしたんだろう?

「かえで。とりあえず座れ。今の状況を説明する」

「あ、はい・・・何があったんですか?」

「実はな、かえでの存在が一般隊士に知られてしまった」

「へーそうなんですか・・・って、え⁉︎なんで⁉︎」

「実は、昨日の平助くんとかの叫び声が聞こえていたみたいで・・・」

「あぁ・・・」

確かに、あの時の大声は大きかったもんね・・・

「・・・どうする?最悪、言い訳ならできるが・・・」

一さんがわたしを心配するようにわたしの目を見る。無表情の顔の奥にはわたしを心配する感情がわかる。

「・・・わたし的には、べつに存在を公にしてもいいんですけど・・・土方さんは大丈夫ですか?ここ、表向きは女性の立ち入り禁止ですよね?」

「そこらへんの言い訳は大丈夫だよ〜」

自信満々に言ったのは総司さん。

「あのね、かえでちゃんは浪士組ができる前からいたわけでしょ?で、その時は女人禁制じゃないから、かえでちゃんは大丈夫、って事!」

「それ、だいぶ無理があるような・・・」

「俺が許可したから大丈夫だ。もちろん、勝ちゃんの許可も得ている」

「・・・なら、ちゃんとみんなにわたしの存在を知ってもらいたいです・・・あ、でも、わたしが未来から来たこととか、人狼だとかはまだ話ません。そこらへんの言い訳はわたしがなんとかします」

「・・・わかった。ならいくか」

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