紅葉踏み分け、君思ふ
「そこ!ちゃんと端っこまで綺麗に!」
「は、はい!」
「手が空いた人は道場の手伝いをして!道場には二十人ぐらいいればいいから!やること無くなったら買い物よ!」
「は、はい!」
えっと、只今わたしは隊士たちと八木邸及び前川邸のお掃除中。
本当は八木邸だけのつもりだったけどたまたま八木邸に用があった新見さん(忘れてないよね?あの芹沢さんの側にいた人)にこの状況を見られて、そしたらわたしの考えにノッた新見さんに「ついでに前川邸も掃除しましょうよ!」って言われて流れで掃除をすることになった。
(ってか、新見さん、総司さんタイプだね。楽しそうなことにじぶんから首を突っ込むタイプ)
あ、そういば前川邸に行った時、前みたいにお酒の臭いが全然しなくて、びっくりして新見さんに聞いたら「節酒しているんです」って言われた。
(・・・いやます注意したのはわたしだけど、そんな真面目に節酒してくれるとは思ってなかった・・・うん)
そんな経緯を経て、わたしは屯所に帰ってきた人(怪我人除く)から片っ端に手拭いと箒を渡して掃除をさせている。
もちろん、掃除だけだと人手が余るからそれ以外は着物の洗濯をやらせている。隊士たちが服を三日に一度しか変えていないと行った時、思わず悲鳴をあげてしまった。
いつのまにか芹沢さんとか、近藤さんも参加して隊員全員でお掃除だ。もちろんわたしも指示をする傍ら、台所の掃除だ。一緒に掃除をしているのは総司さんと一さん、そして源さん。
「あ!この皿割れてる!」
「こちらもだ。源さん、頼めますか?」
「はいはい・・・それにしても、これすごいですね」
これ、と言いながら源さんが持ち上げたのはわたしが四次元箱の中から出した接着剤。
この時代にももちろん接着剤はあった。ただ、漆はめっぽう高い。そして、そんなお金は此処にはない。ってことで急遽わたしが用意したのがこの瞬間接着剤。できるだけあるものは有効活用しなければ。
「総司さん。このお皿、そこの戸棚に置いてくれる?」
「これ?了解です〜!」
「かえで。こちら側は大体綺麗になったぞ」
「おぉ!さすが一さん!」
「ちょっとかえでちゃん!ぼくの掃除が上手くない、ってこと⁉︎」
「そんなわけないよ!総司さんも綺麗!」
そう言えば余談だけど、わたしの秘密の共有の後、総司さんとタメで話すようになった。そして総司さんもタメで話すようになった。
ってか、近藤さん、土方さん、山南さん、そして源さん以外はなんかタメで話せるようになった。正直、みんなと距離が近くなったみたいで結構嬉しい。
「かえでさん。道場の掃除も粗方終わりました。で、手が空いた何人かが買い物に行く、と」
(え?もう終わったの?思ってたよりも早く終わったねぇ)
「えっと、じゃあ今から必要なもの言っておくから覚えて」
「お、覚え・・・わ、分かりました」
「えっと、まず圧倒的にお肉が足りないから・・・お肉と、お風呂は・・・土方さんに言わないとどうにもならない、ね。あ、でもそれまでようにタオル・・・えっと手拭いがいるよね。じゃあそれと・・・」
とりあえずいままで部屋を見て足りなさそうなものを羅列していく。
「あ、着替えも欲しい!みんな同じ服を洗濯せずに何日も使い回すんでしょう?それはやめて欲しい。とりあえず古着屋で男性ものを隊士分。古着屋に迷惑がかからないように半分は残しておいてね」
「分かりました!」
「お金は近藤さんか土方さんに言って用意してもらって。わたしに頼まれた、って言えば貸してくれるだろうから。その代わり、絶対ツケ払い・・・後払い?はダメ!その場で払って。お金が足りなくなったら帰ってきてもいいから」
言いたいことだけ言い切って隊士たちをさっさとお買い物に行かせたら台所の掃除の仕上げをし、隊士の部屋と道場を確認して終わった人から庭の井戸から引いた水で体を洗ってもらい、終わった人から買い物班が買ってきた服を着ていく。
一通り終わる頃には既に日が傾きかけていた。
(えっと、確か始まったのがお昼でしょ?ってことはだいたい六時間ぐらい・・・人が多いっていいなぁ)
そして、夜ご飯と食べるときには全員が、さっぱりとした体でやり切った達成感を顔に浮かべていた。
「すごく久しぶりに掃除したよ」
まだ少し濡れた髪をかきあげながら総司さんがご飯を飲み込む。
「・・・総司さん。今日だけじゃないよ」
「・・・え?」
思わず、と言ったように声を漏らした総司さんをおいてわたしは立ち上がる。
「これから、掃除当番を作ります!」
「・・・はぁ⁉︎」
見事に全員の叫びが重なった。
「いいですか?本来なら毎日ちゃんと掃除をすればこんな大掃除をする必要がないんです!ってことで毎日お昼の見周りに出る班に二足した数の班にこの広間と道場、自分たちの部屋をきちんと掃除をしてもらいます。そのあと、局長か副長のどちらか一人に点検してもらって合格が出たらお昼の自由時間がもらえます!」
「は⁉︎俺ら(私たち)⁉︎」
「自由時間なし⁉︎」
あ、今の、最初が近藤さん以下四人で次がそれ以外の隊士ね。
「いや、そんな嫌そうな声で言われても・・・あと、ちゃんと服を毎日着替える!汗をかいても、ね。お風呂も導入したら毎日入ってもらうね・・・これも全部みんなの健康のため!食あたりとかで戦闘に参加できないとか、そんなことはわたしが入り限り許しません!」
キッパリと言い切る。
「・・・・・・分かった」
「⁉︎」
声を発したのは意外にも芹沢さん。
「これは局長命令だ」
重々しく言った芹沢さんに批判できる人は誰もいなかった。
その後、最初はイヤイヤやっていた隊士達だったがだんだんハマり、屯所内は常に綺麗に保たれるようになった。
そして、大掃除の日、京都中の古着屋を隊士が回ったことにより、古着屋の中で浪士組の名が広まったとかないとか・・・
「は、はい!」
「手が空いた人は道場の手伝いをして!道場には二十人ぐらいいればいいから!やること無くなったら買い物よ!」
「は、はい!」
えっと、只今わたしは隊士たちと八木邸及び前川邸のお掃除中。
本当は八木邸だけのつもりだったけどたまたま八木邸に用があった新見さん(忘れてないよね?あの芹沢さんの側にいた人)にこの状況を見られて、そしたらわたしの考えにノッた新見さんに「ついでに前川邸も掃除しましょうよ!」って言われて流れで掃除をすることになった。
(ってか、新見さん、総司さんタイプだね。楽しそうなことにじぶんから首を突っ込むタイプ)
あ、そういば前川邸に行った時、前みたいにお酒の臭いが全然しなくて、びっくりして新見さんに聞いたら「節酒しているんです」って言われた。
(・・・いやます注意したのはわたしだけど、そんな真面目に節酒してくれるとは思ってなかった・・・うん)
そんな経緯を経て、わたしは屯所に帰ってきた人(怪我人除く)から片っ端に手拭いと箒を渡して掃除をさせている。
もちろん、掃除だけだと人手が余るからそれ以外は着物の洗濯をやらせている。隊士たちが服を三日に一度しか変えていないと行った時、思わず悲鳴をあげてしまった。
いつのまにか芹沢さんとか、近藤さんも参加して隊員全員でお掃除だ。もちろんわたしも指示をする傍ら、台所の掃除だ。一緒に掃除をしているのは総司さんと一さん、そして源さん。
「あ!この皿割れてる!」
「こちらもだ。源さん、頼めますか?」
「はいはい・・・それにしても、これすごいですね」
これ、と言いながら源さんが持ち上げたのはわたしが四次元箱の中から出した接着剤。
この時代にももちろん接着剤はあった。ただ、漆はめっぽう高い。そして、そんなお金は此処にはない。ってことで急遽わたしが用意したのがこの瞬間接着剤。できるだけあるものは有効活用しなければ。
「総司さん。このお皿、そこの戸棚に置いてくれる?」
「これ?了解です〜!」
「かえで。こちら側は大体綺麗になったぞ」
「おぉ!さすが一さん!」
「ちょっとかえでちゃん!ぼくの掃除が上手くない、ってこと⁉︎」
「そんなわけないよ!総司さんも綺麗!」
そう言えば余談だけど、わたしの秘密の共有の後、総司さんとタメで話すようになった。そして総司さんもタメで話すようになった。
ってか、近藤さん、土方さん、山南さん、そして源さん以外はなんかタメで話せるようになった。正直、みんなと距離が近くなったみたいで結構嬉しい。
「かえでさん。道場の掃除も粗方終わりました。で、手が空いた何人かが買い物に行く、と」
(え?もう終わったの?思ってたよりも早く終わったねぇ)
「えっと、じゃあ今から必要なもの言っておくから覚えて」
「お、覚え・・・わ、分かりました」
「えっと、まず圧倒的にお肉が足りないから・・・お肉と、お風呂は・・・土方さんに言わないとどうにもならない、ね。あ、でもそれまでようにタオル・・・えっと手拭いがいるよね。じゃあそれと・・・」
とりあえずいままで部屋を見て足りなさそうなものを羅列していく。
「あ、着替えも欲しい!みんな同じ服を洗濯せずに何日も使い回すんでしょう?それはやめて欲しい。とりあえず古着屋で男性ものを隊士分。古着屋に迷惑がかからないように半分は残しておいてね」
「分かりました!」
「お金は近藤さんか土方さんに言って用意してもらって。わたしに頼まれた、って言えば貸してくれるだろうから。その代わり、絶対ツケ払い・・・後払い?はダメ!その場で払って。お金が足りなくなったら帰ってきてもいいから」
言いたいことだけ言い切って隊士たちをさっさとお買い物に行かせたら台所の掃除の仕上げをし、隊士の部屋と道場を確認して終わった人から庭の井戸から引いた水で体を洗ってもらい、終わった人から買い物班が買ってきた服を着ていく。
一通り終わる頃には既に日が傾きかけていた。
(えっと、確か始まったのがお昼でしょ?ってことはだいたい六時間ぐらい・・・人が多いっていいなぁ)
そして、夜ご飯と食べるときには全員が、さっぱりとした体でやり切った達成感を顔に浮かべていた。
「すごく久しぶりに掃除したよ」
まだ少し濡れた髪をかきあげながら総司さんがご飯を飲み込む。
「・・・総司さん。今日だけじゃないよ」
「・・・え?」
思わず、と言ったように声を漏らした総司さんをおいてわたしは立ち上がる。
「これから、掃除当番を作ります!」
「・・・はぁ⁉︎」
見事に全員の叫びが重なった。
「いいですか?本来なら毎日ちゃんと掃除をすればこんな大掃除をする必要がないんです!ってことで毎日お昼の見周りに出る班に二足した数の班にこの広間と道場、自分たちの部屋をきちんと掃除をしてもらいます。そのあと、局長か副長のどちらか一人に点検してもらって合格が出たらお昼の自由時間がもらえます!」
「は⁉︎俺ら(私たち)⁉︎」
「自由時間なし⁉︎」
あ、今の、最初が近藤さん以下四人で次がそれ以外の隊士ね。
「いや、そんな嫌そうな声で言われても・・・あと、ちゃんと服を毎日着替える!汗をかいても、ね。お風呂も導入したら毎日入ってもらうね・・・これも全部みんなの健康のため!食あたりとかで戦闘に参加できないとか、そんなことはわたしが入り限り許しません!」
キッパリと言い切る。
「・・・・・・分かった」
「⁉︎」
声を発したのは意外にも芹沢さん。
「これは局長命令だ」
重々しく言った芹沢さんに批判できる人は誰もいなかった。
その後、最初はイヤイヤやっていた隊士達だったがだんだんハマり、屯所内は常に綺麗に保たれるようになった。
そして、大掃除の日、京都中の古着屋を隊士が回ったことにより、古着屋の中で浪士組の名が広まったとかないとか・・・