紅葉踏み分け、君思ふ
会談と、着物と、刀と -1-
「あ!総司さん、こっち!」
「ごめんなさい!土方さんに呼ばれちゃって」
「ううん、全然大丈夫!行こっ」
わたしは玄関から出てきた総司さんと一緒に歩き出す。目的地は会津藩邸。
今日は三日前話したように総司さんと一緒に会津藩邸に向かう。
本当は会津邸には二日前に行くつもりだった。だけど、このタイミングで佐之さんが風邪を引いてしまい、見回りの順番が多少変わったことで総司さんが行けなくなり、結局この日になってしまった。
今日は曇りだったから、日焼け止めを付けずに傘だけを持って街を歩く。
(出かけるたびつけてたらなくなっちゃうかもしれないしね・・・)
「そういえばかえでちゃんはどうして会津藩邸に?」
歩きながら総司さんが聞く。
「ん?あれ?話してなかったっけ?」
「はい!全く!」
気持ちいいぐらいにキッパリと言い切る総司さんに苦笑いしながら説明する。
「昨日の大坂の件、会津藩になにもいってない、って言ってたから・・・ちょっと融通を、ね?」
「?つまり・・・?」
よくわからないというように首を傾げる総司さんだが、今説明しても結局会津班邸でもう一回同じ説明をしないといけないからとりあえず「後でわかるから」と言ってとりあえず連れて行く。
三十分もかからずに無事会津藩邸に着くことができた。(途中総司さんが甘味に釣られたりわたしが道を間違いかけることはあったけど)
門にいた取次役にわたしの名前をいい、大木さんに会いたいというと比較的すぐに中に通された。
案内されるがまま着いて行き、ある部屋に通される。そこには大木さんと、なぜか。
「ま、松平、様・・・⁉︎」
なぜか、松平様がいた。
(ん?あれ?わたしが取り継いだのって大木さんだったよね?なぜに松平様もいるの?え?)
総司さんも同じことを思ったみたいで小さな声で「え・・・?」と言ったのが聞こえた。
「久しぶりだな。かえで殿。それに・・・沖田殿だったか?」
「!ぼくの名前を覚えて・・・」
「剣術試合で見ての。最後の技が素晴らしかったのを覚えておる。ささ、座れ」
松平様に促されるまま座ると大木さんが口を開く。
「して、今日はどんな用件で?」
「はい。大木様は大坂で浪士組を語る輩が悪行を行っているのはご存知で?」
「む?そんな話は聞いたことないな。松平様は・・・」
「わしも初耳じゃ。それについて詳しく教えろ」
その言葉に総司さんが事件の概要をかいつまんで説明すると二人の顔が歪む。
「なんと・・・そんなことが」
「浪士組はわしが預かっておる組織じゃ。そんなことが京に広まれば浪士組が肩身の狭い思いをしてしまう」
「はい。で、この事件を踏まえてのお願いなんですけど・・・この事件の解決を、正式に依頼として、浪士組に伝えてくださいませんか?」
「む?どういうことだ?」
「今のところ、大坂へは観光のような感じで行くことになっているんです。ただ、それだと一般隊士のやっかみもありますし、何より京都に見回りのみで精神が緩んでいる隊士に渇を与えれられます」
わたしが思い浮かべたのは一昨日総司さんと一緒に見回りをしていた時の事。
総司さんに着いていった見回りの時、何人かの隊士が見るからにやる気がなさげだったのだ。その隊士にその理由を刺激しないように聞いてみたところ「見回りしたところでそうそう斬り合うこともないだろう」とのこと。そんなだらけた隊士たちにやる気を与えたい。
「・・・なるほど。確かに、な・・・わかった。今すぐに、とはいえないができるだけ早く依頼できるようにしよう」
「本当ですか⁉︎ありがとうございます!」
ここまで来ると総司さんもわたしがしたいということがわかったみたい。小さな声で「なるほど・・・」と呟いたのが聞こえた。
「ごめんなさい!土方さんに呼ばれちゃって」
「ううん、全然大丈夫!行こっ」
わたしは玄関から出てきた総司さんと一緒に歩き出す。目的地は会津藩邸。
今日は三日前話したように総司さんと一緒に会津藩邸に向かう。
本当は会津邸には二日前に行くつもりだった。だけど、このタイミングで佐之さんが風邪を引いてしまい、見回りの順番が多少変わったことで総司さんが行けなくなり、結局この日になってしまった。
今日は曇りだったから、日焼け止めを付けずに傘だけを持って街を歩く。
(出かけるたびつけてたらなくなっちゃうかもしれないしね・・・)
「そういえばかえでちゃんはどうして会津藩邸に?」
歩きながら総司さんが聞く。
「ん?あれ?話してなかったっけ?」
「はい!全く!」
気持ちいいぐらいにキッパリと言い切る総司さんに苦笑いしながら説明する。
「昨日の大坂の件、会津藩になにもいってない、って言ってたから・・・ちょっと融通を、ね?」
「?つまり・・・?」
よくわからないというように首を傾げる総司さんだが、今説明しても結局会津班邸でもう一回同じ説明をしないといけないからとりあえず「後でわかるから」と言ってとりあえず連れて行く。
三十分もかからずに無事会津藩邸に着くことができた。(途中総司さんが甘味に釣られたりわたしが道を間違いかけることはあったけど)
門にいた取次役にわたしの名前をいい、大木さんに会いたいというと比較的すぐに中に通された。
案内されるがまま着いて行き、ある部屋に通される。そこには大木さんと、なぜか。
「ま、松平、様・・・⁉︎」
なぜか、松平様がいた。
(ん?あれ?わたしが取り継いだのって大木さんだったよね?なぜに松平様もいるの?え?)
総司さんも同じことを思ったみたいで小さな声で「え・・・?」と言ったのが聞こえた。
「久しぶりだな。かえで殿。それに・・・沖田殿だったか?」
「!ぼくの名前を覚えて・・・」
「剣術試合で見ての。最後の技が素晴らしかったのを覚えておる。ささ、座れ」
松平様に促されるまま座ると大木さんが口を開く。
「して、今日はどんな用件で?」
「はい。大木様は大坂で浪士組を語る輩が悪行を行っているのはご存知で?」
「む?そんな話は聞いたことないな。松平様は・・・」
「わしも初耳じゃ。それについて詳しく教えろ」
その言葉に総司さんが事件の概要をかいつまんで説明すると二人の顔が歪む。
「なんと・・・そんなことが」
「浪士組はわしが預かっておる組織じゃ。そんなことが京に広まれば浪士組が肩身の狭い思いをしてしまう」
「はい。で、この事件を踏まえてのお願いなんですけど・・・この事件の解決を、正式に依頼として、浪士組に伝えてくださいませんか?」
「む?どういうことだ?」
「今のところ、大坂へは観光のような感じで行くことになっているんです。ただ、それだと一般隊士のやっかみもありますし、何より京都に見回りのみで精神が緩んでいる隊士に渇を与えれられます」
わたしが思い浮かべたのは一昨日総司さんと一緒に見回りをしていた時の事。
総司さんに着いていった見回りの時、何人かの隊士が見るからにやる気がなさげだったのだ。その隊士にその理由を刺激しないように聞いてみたところ「見回りしたところでそうそう斬り合うこともないだろう」とのこと。そんなだらけた隊士たちにやる気を与えたい。
「・・・なるほど。確かに、な・・・わかった。今すぐに、とはいえないができるだけ早く依頼できるようにしよう」
「本当ですか⁉︎ありがとうございます!」
ここまで来ると総司さんもわたしがしたいということがわかったみたい。小さな声で「なるほど・・・」と呟いたのが聞こえた。