危険な彼に焦がれて


「へー、情報屋なんだ?」


「はい」


情報屋は意外と稼げるから、家賃としても借金としてもちょうどよかった。


もう家賃に関しては払う必要もなくなったけど……


「情報屋、か。ねぇ、君の名前はなんていうの?」


感傷に浸っていた時、名前を聞かれた。


「折川珠那です」


丁寧語をつけて答えた。


今更かもしれないけど、これからは敬語で言うようにするから。


「珠那ちゃんってもしかして、折那?」


折那は私の情報屋の時の活動名。


折川の“折”と珠那の“那”から取って、折那にした。


この男は名前を聞いただけで分かったらしい。


いや、名前を聞けば分かる人は分かるか。

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