見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「伊織くん、私もお店を出るから一緒に行こぉ?ちょっと飲み過ぎちゃったっぽくてぇ…」

「大丈夫ですか?新見でも呼んできますよ」

「あっ、ううん、みんな楽しんでるし…っていうかぁ伊織くんがいいの。ちょっと休んでいきたいから…送ってくれる?」

「すいません、時間ないんで」

「あっ、すぐ近くだから」

「近くなら大丈夫でしょう」

「でもでもぉ、倒れちゃうかもだし…」


…イラッとしつつ、これは俺が「送る」と言うまで付きまとわれると思い、近くなら…と、嫌々ながら送ることにした。

そして俺は辺りを確認すると、ユキさんについて歩き始めた。


腕を絡ませようとする度にそれを拒否しながら10分くらいユキさんの案内で歩くと、ラブホテルが点在する通りに入っていた。

ユキさんがその内の一つの建物の前で止まり、俺を上目使いで見ながら言う。

「ここで…一緒に休んでかない?」


「いえ。では失礼します」

そう言って踵を返したが、腕を掴まれて、建物の中に引きずり込まれた。

雪道で踏ん張りが効かなかったのと、あまりにも一瞬の出来事で油断してしまったが、すぐさま建物から出た。

女の人に力で物申すのは良くないとわかってはいるが、誤解を生むのは困るから、俺の腕を掴む手を力を入れて剥がし、やんわりとどかした。

「では失礼します」

「ちょっと待って。…ここ一人じゃ入れないからぁ…じゃあやっぱりカフェにしようかな。いいところがあるから一緒に行ってくれる?」

「…時間がないのですみません」
と腕時計を見て言うも。


「でも…途中で気分が悪くなるかもぉ…」
と言われたため無視することもできず…

「ハァ……わかりました。じゃあそこまででいいですね」
ため息を憚らずに言う。

「うんっ」
そう言うと、俺の腕にしがみついてきたから、また力を入れて剥がしてやんわりとどかした。


触んじゃねぇ。

そう言えたらどんなにいいか。
あぁ、イライラする。


もう10分位は歩いたか…?
腕時計を見ると20時半。

「…お店ってどこですか?」
「あ、もう少しだから」
「俺もう帰ります」
「えっ待って、もう少しで着くから」

「ハァ……何がしたいんですか?」

「何がって何もないよ?ただカフェに行くだけだから」

それからまた10分程度歩いたところでユキさんがとあるビルの前で立ち止まり、上を見上げた。

「ここなんだけど…閉まってるー、えー何でぇ…困ったなぁ…どうしよう…」

俺をチラチラ見ながら察してほしい様な言い方をするから、それを無視して言う。

「それじゃあ俺は本当に帰りますんで」

「えっ、待って!ならホテルまで連れていって?」

「…じゃあ新見を呼びます」

「やだ!伊織くんじゃないとダメなの!」

「…タクシーで行って下さい。本当に時間がないので失礼します」

そう告げると、ユキさんが俺の腕を掴んできた。


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