見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
そんなある日、横浜の店舗の店長代理を勤めてる時に、ご新規さん優待キャンペーンのチラシ配りしてたんだけど、そこで見つけちゃったんだよな、ダイヤの原石。

や、原石じゃねぇな、もうダイヤなんだけどさ。

ただ、どこかキズついててくすんでて…もっと磨いてみたいって思ったんだ。


最初…パッと見た一瞬、そのコが光って見えたんだ。
…目の錯覚かな?と思いつつ改めて見てみると、遠目でも俺の好みのコだ、って思った。
透明感のある、繊細そうな感じ。

コート着てるからはっきりとはわからねぇけど…たぶん細身。
だから筋肉でメリハリつけたら断然キレイになる!って思った。

したら、もちろん勧誘するじゃん?

でもさ、そのコ、目を腫らしてて。
俺のこと睨みながら…泣き出してさ…

俺…すげぇドキドキした。
そのコの泣き顔に。

そのコ、睨んでるんだけど…このままサヨナラしたら夜の闇に溶けてなくなりそうに見えたんだ。

そん時はダイヤじゃなくて…今にも割れてしまいそうな脆いガラス細工の様に見えて…

気付いたら抱き締めてた。

そんな自分に驚きつつ、振りほどかれるのも平手打ちされるのも覚悟したんだ。


でもそのコ…
「話を聞くよ」って言った俺を頼ってくれた。

このコ…絶対離したくねぇ!って思った。


直感。


だからスタッフに「急用で帰る」っつって抜け出した。
このチャンスは逃したくないから。



ファミレスに入って明るいとこで見たら、全体的に色素の薄い感じのコで。

肌は色白、髪は肩にかかる長さで明るめの栗色、瞳もヘーゼルに近いブラウンでぱっちりした二重。
唇も柔らかそ…


やっべ、モロ俺の好みなんだけど!


で、名前を聞いたら素直に教えてくれた。

乃愛ちゃん、だって。

…かわい。
名前と容姿の相乗効果ってあんのかな。
すっげぇかわいいんだけど。

乃愛ちゃん。
何度でも言いたくなるな。
乃愛ちゃん…

ははっ、俺らしくねぇな。


で、泣いてた訳を聞いたら…
乃愛ちゃんに似つかわしくないヘビーな内容だった。

見たこともない乃愛ちゃんの旦那に腸が煮えくり返った。

てか乃愛ちゃんは人妻か…

うーん……
略奪愛とか……
したいけど……
乃愛ちゃんはそれを望まないだろうな……真面目そうだし…

でも、お近づきになるだけなら…いいよな?
それくらい許されるよな?
手は出さないから…

俺は乃愛ちゃんと繋がりを持ちたい一心でスポーツクラブに誘ったけど、乃愛ちゃんは長野の人だった。

長野のどこかと聞けば、そこ、あるじゃん!うちの店舗!
だからそっちに誘った。

来てくれるかどうかわからなかったけど…

俺は異動を決めた。

エリアマネージャーは、ぶっちゃけ管轄内ならどこにいてもいいんだ、うちの会社は。

だから、長野の店舗を拠点にする!

と言ってもそんなすぐになんて異動できないから、まずは横浜と長野の状況を見ながら働いて、来月辺りに異動できればいいか。

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