見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~


「乃愛……もう…無理なのか…?」


「無理よ。…好き勝手しておいて、何で許されると思っているの?何で私がいつまでも裏切り者のあなたを好きでいると思ってるの!?…バカにするのもいい加減にして!」


努めて冷静にしていたが、最後に感情を爆発させてしまった。

涙が幾筋か頬を伝う。
けど…もうどうでもいい…
これが私の一番言いたかった事だから。


たぶん、その私の本気が伝わったんだと思う。
青ざめた顔の宏哉が私をしっかり見て言った。


「乃愛……ごめん……本当にごめん…俺が間違ってた…」

その顔は、さっきまでの醜い顔から打ってかわって…以前の…仲の良かった頃の顔に戻ってたけど…もう何の感情は湧かなかった。


「宏哉、離婚届を出したら青井弁護士から連絡が行くと思うから。それじゃあもう会うことはないと思うけど、お元気で。…あぁ、忘れてた。これも返すわ」

私は左手の薬指の結婚指輪を外し、誕生日プレゼントだというネックレスと共に宏哉のデスクに置いた。


それを見て、立ち上がった宏哉が私の腕を掴んだ。

「の、乃愛……待っ…」


パシッ
「触らないで」

気付くと、反射神経並の早さで私はその手を振りほどいていた。


「…乃……愛……」

その動きと冷淡に言い放った事で、もう無理だと悟った様で、宏哉は涙を流しながら立ちすくんでいた。


宏哉に踵を返し、オフィスの方を向いた。

「皆様…お昼休みに家族内のお恥ずかしい所をお見せしてしまい、大変申し訳ございませんでした」
ゆっくりと深く頭を下げた。

「失礼いたしました」
青井さんも一礼して、二人でオフィスを後にした。
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