見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
翌日、そのメモを片手に入院先の総合病院に来てみたのだけど…

急に会うのが怖くなった。

私のせいで…痛い思いをさせて…
入院までさせたんだもん…

あ…脚がガクガクしてきた…
こんな状態でなんて顔を合わせられない…

病院のエントランスで涙目になってしまった私は人目につくのが恥ずかしくて、ひとまず奥の方にある売店と自販機の近くに並んでる長椅子に座ることにした。


お見舞いに来たのに…
会いたいのに…
謝らなきゃいけないのに…

会うのが怖い…



俯いて心を落ち着かせようとしていると、カッカッと子気味良いヒールの音が聞こえ、近くでピタッと止まった。

何気なく見ると女性が自販機で飲み物を買っていた。


…あれ……公佳さん…?

横顔だからわかりにくいけど…
そうだ、あのコートとバッグは公佳さんだ。
どうしたのかな、この時間ならお見舞いかな?

向こうからは私が見えないと思い、声をかけるため立ち上がろうとした時、公佳さんが向こうを向いて手を振った。


あ、誰か見つけたのかな。

「今、行こうとしていたのよ。少し話したくて」
…お見舞いの相手の人みたい。
それなら挨拶はしないでおこう。

「伊織、歩いても大丈夫なの?」


イオリ?


聞こえてきた名前は…九十九さんの名前と同じでドキッとした。

まさか、公佳さんが九十九さんのお見舞いなんて来ないよね。
仲良く話してるとこも見たことないし…


「…公佳……あ、あぁ平気、ありがとな…。話って?…あ、病室行くか?」

「別にどこでも…私はここでもいいけど。何か飲む?」

「…いや、俺はいいや」


すると二人はそこからすぐ近くの長椅子に座り、私からは斜め後ろ姿が見えた。


その二人は、公佳さんと…


…九十九さん……



え、なんで…

そもそも二人は名前で呼び合う様な知り合いだったの?

クラブではそんな素振りは一切なかったのに…


二人の仲を知るのが怖くて…その場を離れたいのに…胸が痛くて…体が震えて動けない…


俯いて自分の身体を抱き締めながらそのまま会話を聞いてしまった…

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