【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第51話
さて、その頃であった。

複数の殺人事件で特別手配をされていた義弟は、JR高蔵寺駅の裏手の酒場街にある小さな居酒屋にいた。

カウンターの席でグデングデンに酔いつぶれていた義弟に対して、のみやのおかみさんは怒った口調で言うた。

「あんたーね!!甘ったれるのもいいかげんにしなさいよ!!合宿免許に失敗した原因はあんたー自身にあるのよ!!人のせいにしられん!!」
「何だよ!!オレを悪者みたいに言うのかよ…オレはなーんにも悪くないのだよ…事務局《クソッタレ》が無作為《どうでもよし》に教習所を選んだんが悪いんだよ…事務局《クソッタレ》のせいでオレの人生が大きく狂ったのだよ!!バーロー!!」

ひろのりは、タンブラに入っているお酒を一気にのみほして、大きくため息をついた。

おかみさんは、怒った声で義弟に言うた。

「あんたーね!!甘ったれるのもいいかげんにしなさいよ!!」

義弟は、ものすごくなさけない声で合宿免許をやめた理由を言うた。

「オレは一生懸命になって運転の技術と交通安全の法令の勉強をすることだけに集中してやってきたのだよ!!それなのに…周囲のクソバカどもは、教習所内にあるカラオケボックスやインターネットで遊んだりオプショナルツアーへ遊びに行ったり…温泉に行ったり…ピクニック行ったり…中には…カップルがイチャイチャしていたやつがいた!!…オレが必死になって運転免許を取ろうとがんばっているのに…周囲のクソバカども遊び放題していた!!だから家出した!!…合宿免許って、ナマクラどもが行くところなんだバーロー!!」

おかみさんは、大きくため息をついてから義弟に言うた。

「なさけないわねあんたーは!!あのね!!うちの長男も、一級建築士の資格の試験に百回落ちたのよ!!落ちても落ちても…またがんばって勉強しなおして試験にトライして…101回目にやっと合格したのよ!!」
「ケッ、そんなんふざけとるわ!!資格とるのはヤーメタ!!」
「あんたーがそう言うのであれば、資格なんかとらんでええ!!あんたーはそれどころか、人と仲良くすることができないみたいだから、ダメね!!」

おかみさんは義弟に対してボロクソに言うたあと、ため息をついた。

その時であった。

トレンチコートを着た刑事8人が店にやって来た。

8人の刑事たちは、義弟に詰め寄った。

「ちょっとすみません…愛知県警と北海道警の合同捜査本部ですが…こちらにひろのりさんはいませんか?」
「課長、いました。」
「ちょうどよかった…探していたよ…ひろのりさん、起きてください…お迎えに来ましたよ…」
「お迎え?」
「砂川市の警察署へ行くよ…あんたは今回の殺人事件の重要参考人で出頭するようにと言われているのだよ!!」
「キサマと同じ合宿免許に来ていたお仲間たちが全部吐いたぞ!!」

義弟は、逮捕されるのがこわいと感じたので店から逃げ出した。

「コラ!!待ちなさい!!」

義弟は、約20分余り酒場街を逃げ回った末に裏の路地にやって来た。

しかし、義弟はこのあと闇討ちを喰らった。

「オラひろのり!!」
「ひっ…うわっ…」

(ドカッ!!)

ひろのりは、待ち伏せていたチンピラの男たち20人からシツヨウに暴行を受けた。

「アニキ!!」
「分かった!!」

リーダーの男は、義弟の頭を15センチのブロックで頭を思い切り殴りて殺した。

義弟の遺体は、チンピラたちが車の中に積み込まれた。

車は、事件現場から走り去った。

それから10日後であった。

義弟は、北海道砂川市のひき逃げ事件が発生した交差点にボロボロに傷ついた姿で信号機にぶら下がっている状態で発見された。

あいつらは、義弟が亡くなったのに悲しむどころか問題は解決したからと言うてヘーゼンとしていた。

このあと、あいつらの家で取り返しのつかない恐ろしい事件のオンパレードがつづいた。
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