【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム

第61話

あいつらの家から家出したアタシは、ＪＲ飯田駅の近くにあるコンビニのサロン席で朝が来るのを待った。

その後、アタシは再び旅に出た。

７月24日に、アタシは特大スーツケースと赤茶色のバッグを持って、再び名古屋にやって来た。

名古屋へ来たのは何年ぶりだろうか…

つばきちゃんは、どこにいるのかな…

元気に暮らしているかな…

アタシは、名古屋市内を歩いてつばきちゃんを探し回った。

つばきちゃん…

アタシ…

また結婚生活に失敗した…

つばきちゃん…

どこにいるのかな…

会いたいよ…

つばきちゃん…

アタシのグチを聞いてよ…

夕方５時半頃であった。

アタシは、袋町通りでつばきちゃんと再会した。

つばきちゃんと再会したアタシは、袋町通りにある居酒屋に行った。

ところ変わって、店内にて…

ふたりは、お酒をのみながらお話をしていた。

テーブルの上には、ロックの冷酒と名古屋の定番料理・エビフリャ(エビフライ)と味噌煮込みと手羽先《てばさき》が並んでいた。

店の有線放送のスピーカーから、島津ゆたかさんの歌で『ホテル』が流れていた。

アタシは、あいつらの家との間により大きなつめあとを残してリエンしたので、相当落ち込んでいた。

アタシは、つばきちゃんに対して『こんなことになるのだったら、再婚なんかするのじゃなかったわ…』とぐちった後、タンブラに入っている冷酒をごくごくとのんでからさらにこう言った。

「女の幸せは結婚しかないなんてバカげてるわよ!!あいつは『働くお嫁さんはダメ!!』『働くお嫁さんがどーのこーの…』とグダグダグダグダと文句を言うて、アタシにきつい暴力をふるった!!…あいつのおにいはあいつ以上にクソバカだからやってられないわよ!!…あいつの母親もジコチュババアだからなおむかつくわよ!!…結局…結婚はガマンをするための結婚よ!!ガマンをするために結婚すると言うのであれば…男なんかいらないわよ!!」

つばきちゃんは、冷酒をひとくちのんでからアタシに言うた。

「そうね…こずえちゃんとうちは、男なんか必要ないのよ…こずえちゃん、また同じような形で再婚しろと言われたらより強い言葉でおことわりしなきゃダメよ…女の幸せは結婚しかないと言うのは、クソタワケたジジババどもの決めつけよ!!」
「つばきちゃんの言う通りよ…アタシは、今まで人の意見に流されてばかりいたのよ…アタシは、オギャーと生まれた時から各地を転々としていたから、放浪癖《ほうろうへき》が身についたのよ…ひとつの街に定住することができないやさぐれた女に、結婚なんてネコにこばんよ。」
「そうねぇ…こずえちゃんもアタシも…放浪することしか知らないやさぐれ女よ…そんなジコチューの家なんか棄《す》てなよ。」

つばきちゃんは冷酒をひとくちのんだ。

ユーセンから流れてきた歌は、黒沢年男さんの歌で『時には娼婦のように』に変わった。

つばきちゃんは、手羽先をつまみながらアタシに言うた。

「こずえちゃん…これからどーすんのよ？」
「どうするって…各地を放浪するより他はないのよ…アタシ、また名古屋《このまち》でバイトして、おカネをためる…おカネがたまったら、またどこか遠くへ行くわ。」
「そうね…」

つばきちゃんとアタシは、お酒をのみながら一晩中語り明かした。

アタシは、８月１日から再び名古屋でバイト生活を始めることにした。

アタシは、つばきちゃんからの紹介で本重町通りにある中納言《ちゅうなごん》(関西にある伊勢エビ中華料理店チェーン)のチュウボウで日中の４時間の皿洗いのバイトと広小路通りのローソンのバイトをかけもちで働くことにした。

他にも、バンテリンドームナゴヤでビールの売り子さんのバイトや名古屋市内のデリヘル店…で働いて、さらに貯蓄を作ることにした。

アタシは、一定の金額がたまったらまた旅に出ると訣意《けつい》を硬《かた》めた。

だから、あいつらの家と仲直りしない!!

アタシは、あいつらの家の親類縁者たちを血の池地獄へ墜《お》として焼き殺してやる!!

アタシは、あいつらの家に対するうらみつらみをより一層高めた。