【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第64話
8月6日のことであった。

ところ変わって、飯田市内にて…

この日、あいつは飯田市と周辺の地域で暮らしている教習生が滞納している教習料金《りょうきん》の督促《トクソク》に行ってた。

あいつは、教習料金《りょうきん》を滞納《たいのう》している10人の教習生の住まいを1軒ずつ行って、8月中に滞納《たいのう》している教習料金《りょうきん》を払ってくださいと催促《サイソク》した。

しかし、経済的な理由などで払えないと言われてばかりが続いた。

この時、あいつはソートー怒り狂っていた。

そのうちの1軒目の家にて…

バイト生活をしながら教習所に通っていた21歳のフリーアルバイターが暮らしているアパートにて…

「すみませんが、滞納《たいのう》している教習料金を払っていただけますか?こちらは困っているのですが…」
「分かっているよぉ…だけどこっちはバイトをクビになった上に公共料金の支払いなどができなくなったから電気ガス水道を止められたのだよ…」
「あんたね、教習所に行く気はあるの?ないの?どっち?」
「どっちって…行きたいよ…だけど生活が苦しいのだよぉ…」
「それだったら実家へ帰ったらどうですか!?それがイヤなら首をつるしかないですよ!!」

(バターン!!)

フリーアルバイターの教習生は、すぐさま部屋に閉じこもった。

「ちょっと!!K島さん!!K島さん!!K島さん!!」

あいつは、ドンドンと戸を叩きながら教習生を呼んだ。

部屋の中から『首をつれと言うのであれば吊ってやる!!』と女々しい声で泣いている教習生の声が聞こえた。

ところ変わって、2軒目の教習生の住まいにて…

2軒目は、22歳で非正規雇用の会社員であった。

男性は、金髪のトサカ頭で耳にピアスを着けていて白のランニンクシャツと短パン姿で出てきた。

あいつは、滞納している教習料金の催促《サイソク》した。

「すみませんけど、滞納《たいのう》している教習料金を8月中に払ってください…このとおりですからお願いします。」
「わりぃわりぃ…教習料金に取っていたカネをダチに貸しているんだよいて…あと、きょうもまた先輩からおごってくれと言われたので困っているのだよだよ…1ヶ月以内にカネができるよう努力するから待っていただけますか?」
「あんたね、そのいいわけはものすごくイラつくんだよ…あんたは教習生としての自覚が全くないね…学科の授業は遅刻する…合宿免許の人のみが利用できる施設に勝手に利用していたトラブルをたくさん犯していた…それだけではなく、合宿免許で来ていた女性の教習生に対するセクハラギワクが山のようにありますよ…その分も含めて8月中にオトシマエをつけてもらいましょうか!?」

そしたら、教習生の男性は逆ギレを起こした。

この時、近くに隠れていたヤクザの男たち数人がやって来た。

「おいコラ!!抵抗するのもたいがいにせえよ!!」

ヤクザの男たち数人は、問題の教習生をつかんだあと部屋から引きずり出した。

「離せ!!離せ!!」
「教習所に損害をあたえたオトシマエを早いところつけろや!!おい、コンクリ詰めにしてドラム缶ごと直江津港《なおえつのみなと》へ沈めるぞ!!」
「オーッ!!」
「イヤだ!!死にたくない!!」
「来いや!!」

問題の教習生は、数人のヤクザの男たちに連れ去られたあと行方不明になった。

あいつは、問題の教習生のブザマな姿をニヤニヤ嗤《わら》いながら見つめていた。

その後、あいつは連れ去られた教習生が持っていた高価品と残っている金銭と預金通帳《つうちょうるい》などを強奪した。

その次に行った教習生の家は大金持ちのお坊っちゃまの家であった。

お坊っちゃまの教習生は、大金持ちの家で大金があるのに教習料金《りょうきん》を滞納《たいのう》していた。

応対は、母親が出た。

あいつは、母親に対して教習料金《りょうきん》を払ってくださいとお願いした。

母親は、逆ギレを起こした。

「M彦が教習料金《りょうきん》を払っていないので、どうしてほしいと言うのですか?」
「ですから、私は未納になっているから払ってくださいとお願いしているのですよ。」
「誰の命令でここへ来たのですか?」
「私は、上の人の命令で催促《サイソク》に来たのですよ…おたくのお坊っちゃまは10日前を最後に教習所に来ていませんけど…おたくのお坊っちゃまは、運転免許を取る気持ちはあるのでしょうか?」
「うちのM彦が終了検定に落ちたことと教習料金《みのう》の未納がどういう関係があるのですか!?うちのM彦をブジョクするのだったら担当の弁護士の家に電話して、おたくの教習所に抗議いたします!!」

ブチ切れてしまった母親は、らくらくスマホを持って外へ出た。

その間に、あいつはお母さまが所有している高価品を大量に強奪した。

それから数十分後に、あいつはこの家の権利書も強奪したあと家から出た。

母親は、まだスマホで電話をかけていた。

家から200メートル離れたところで、お手伝いさんが『奥さま!!家の権利書がなくなってますよ!!』と叫んでいた。

しかし、あいつは何くわぬ顔で立ち去った。

それから30分後であった。

あいつは、問題のお坊っちゃま教習生が飯田市内の御茶屋《おちゃや》から出たところを見た。

思い切りブチ切れたあいつは、路地裏でお坊っちゃま教習生をボコボコに殴りつけて殺した。

その後、何くわぬ顔で立ち去った。

その後も、あいつはより過激な手を使って料金を滞納《たいのう》している教習生から金目のものを強奪した。

その日の夕方6時過ぎであった。

ところ変わって、教習所にて…

あいつは、過激な手を使って教習料金《りょうきん》を滞納《たいのう》している教習生からカネを大量に強奪したので、気持ちがものすごくヒヘイした。

あいつの後ろに、強奪した高価品の山が積まれていた。

そんなあいつに対して、神山《こうやま》さんは『お疲れさま。』と言うたあと不安げな声で言うた。

「ひろつぐさん、ワシは高価品を強奪してまでも料金を回収してこいとは言うでないのだよ…」

神山《こうやま》さんが言うた言葉に対して、あいつはこう言い返した。

「問題の10人の教習生はヘラヘラしていたのです!!なめられたらいかんので、こっちは強く出たのですよ!!料金が入らなかったら困るのは教習所《うち》ですよ!!」
「分かった…それなら仕方がない…それなら、ひろつぐさんが強奪した高価品をカネに換えるよ…」

神山《こうやま》さんは、つかれた声で言うたあとあいつに対して『早く帰って、身体を休めなさい…』と言うた。

その後、あいつは帰り支度を始めた。

神山《こうやま》さんは、ものすごくつらい表情であいつの背中を見つめていた。
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