【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム

第65話

その日の夜７時30分頃であった。

ひろゆきとサナと義母が暮らしている家にて…

家のダイニングテーブルには、サナが作った手料理がたくさん並んでいた。

今夜のおかずは、ひろゆきが大好きなサナの手作りのドリアである。

しかし、ひろゆきはこの最近のんで帰ることが多くなったので午前さまになる手前(深夜11時50～55分頃)あたりが多くなった。

ひろゆきが働いている職場は、残業はなく定刻通りに仕事が終われば従業員さんたちはまっすぐに家に帰宅していた。

しかし、ひろゆきは職場を出た後、飯田市内《しない》にある居酒屋をはしごして過ごしていた。

この時、家庭内の人間関係は極力悪化していた。

ところ変わって、ＪＲ飯田駅の裏の露地にある居酒屋にて…

カウンター席に座っているひろゆきは、どぎついジンをのんでぐでんぐでんに酔いつぶれていた。

ひろゆきは、夕方６時半頃から店に来て酒をのんでいた。

ユーセンのスピーカーから愛本健二さんの歌で『恋おんな』が流れていた。

カウンターに座っているひろゆきは、わけの分からないことをグダグダと言いまくった。

カウンターの内にいるおかみさんは、怒った口調でひろゆきに言うた。

「あんたーね!!もういいかげんにしなさいよ!!毎日毎日毎日毎日毎日毎日のんだくれになっては家庭内の不満ばかりをゴタゴタいよるけど、なんでまっすぐに帰らんのよ!!…ちょっとあんたー!!」
「ルセー!!のませろ!!…ケッ…やってらんねーよボケ!!…こずえといい…その前の嫁と言い…クソ生意気だから頭に来るのだよ!!」
「あんたーね!!そう言うて今までお嫁さんを何人粗末にしたと思っているのよ!!あんたーはお嫁さんに多少の欠点があっても目をつむってあげると言うことはできないのね!!なさけない!!」

グデングデンに酔っているひろゆきは、残りの酒を一気にのみほした。

その後、代金を支払って店から出ようとした。

そこで、店にいた客ともめ事を起こした。

ひろゆきは、手当たり次第に女の人に声をかけた。

それが原因で、女の人の連れの男とトラブった。

「オラオドレ!!」
「何や!!」
「オドレは人の女にてぇつけるのか!?」
「何や!!もういっぺん言ってみろ!!」
「人の女に手出しをする気かと言っているのだよ!!」
「ふざけるな!!オドレはいつから女のカレシになったんや!!」

（ドカッ!!）

ひろゆきは、男性客《きゃくのオトコ》をグーで思い切り殴りつけた。

この時、店にいた他の男性客《きゃくのおとこ》８～９人のグループに怒りが飛び火した。

グループのひとりの男がひろゆきに喰ってかかった。

このあと、ひろゆきは店に居合わせた男性客《きゃくのおとこ》20人前後を巻き込んで大乱闘を繰り広げた。

それから数時間後であった。

居酒屋で乱闘騒ぎを起こしたひろゆきは、めちゃめちゃに走って家に逃げ帰った。

この時、日付けが変わって深夜１時を過ぎていたと思う。

ひろゆきは家に入った時であった。

サナがくすんくすんと泣いていた。

この時、ひろゆきはサナがなんで泣いているのかが分からなかった。

ひろゆきは、ヘーゼンとした表情で冷蔵庫から缶ビールを取りだそうとした。

その時、義母があつかましい声でひろゆきに言うた。

「ひろゆき!!」
「なんだよぅ〜」
「今何時だと思っているよ!?」
「知らねーよそんなこと…」
「ひろゆき!!」
「何や!!」
「ひろゆきは、毎晩ひろゆきのために手料理を作って待っているサナさんの気持ちが分からないのね!!今夜は、ひろゆきの大好物のドリアを焼いてくださったのよ!!サナさんは、せっかく作ったお料理が冷めたことを悲しんでいるのよ!!」
「はぐいたらしいんだよ!!オレは再婚して大失敗した!!こんなことになるのであれば、ひとりもんの方がよかった!!ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!」

ひろゆきは、ワーッと叫びながら家を飛び出した。

その後、通りかかった酔っぱらいの男のグループと乱闘騒ぎを起こした。

この時、ひろゆきと家族との間により大きなき裂が生じた。

いつ家庭崩壊が発生してもおかしくない状況におちいったようだ。