【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第66話
あいつの家で乱闘騒ぎが発生した頃、アタシはバンテリンドームナゴヤでビールの売り子さんと深夜のローソンのバイトをしていた。

バイトは明け方5時頃に終わった。

バイトを終えたアタシは、帰る途中の道でつばきちゃんと会ったあと朝ごはんを食べに行った。

ところ変わって、ローソンから700メートル先にある朝営業の居酒屋にて…

つばきちゃんとアタシは、朝酒をのんだあとシメのみそ煮込みうどんで朝ごはんを食べた。

つばきちゃんは、みそ煮込みうどんを食べながらアタシに言うた。

「ねえこずえちゃん。」
「なあに?」
「こずえちゃんは、ひろつぐが起こした下らない裁判を受けて立つの?」
「受けないわよ!!…と言うよりも、頭がいかれたあいつが起こした下らない裁判に付き合っているひまは1分もないのよ。」
「確かにその通りよ…ひろつぐは頭がおかしくなっているのよ…働くお嫁さんだからと決めつけて損害賠償を払えなんて、どうかしてるわよ…」
「前のダンナもそうだった…それは、四国→岡山→関西(逆をたどっている)にいた時のダンナも頭がおかしかった…アタシは…恋愛運が悪い星のもとに生まれたから離婚と再婚を繰り返したのよ…もう女の幸せなんかいらないわよ…不幸な女でいる方がいいわよ…」
「そうよね…こずえちゃんを虐待するだけ虐待した元のダンナたちの家は、すべてこなごなに壊れたのよ…そのうち、ひろつぐの家もこなごなに壊れるわよ…」

つばきちゃんは、アタシにこう言った後、食べかけのみそ煮込みうどんを食べた。

つばきちゃんと一緒に朝居酒屋で朝酒をのんで過ごした後、アタシは部屋に帰った。

アタシは、テーブルの上に赤茶色のバッグを置いて、濃いネイビーのボブソンのジーンズを脱いだ。

その後、ざぶとんの上に座って、大きく深呼吸をした。

アタシは、バッグの中に入っているスマホを取り出して、ラインのメッセージを調べた。

この時、新着のメッセージはなかったので、アタシはスマホをバッグの中にしまった。

その後、レモン色のTシャツを脱いだ。

衣服の中から、白のデイジーのケミカルレースのブラジャー・ショーツがあらわになった。

下着姿のアタシは、ほおずえをついてぼんやりと考え事をした。

あいつは、なに考えているのよ…

働くお嫁さんは家庭のことをしないなんて…

どーかしてるわよ…

あいつのかせぎが足りない分を補うことと借家の家賃があるから働いていたのに…

あんまりだわ…

キーッとなったアタシは、右手でほがそ(くしゃくしゃ)の髪の毛を思い切りかきむしった。

その頃であった。

あいつは、料金を滞納していた教習生から高価品を強奪した日の翌日から勝手に仕事を休んだ。

それを聞いた神山《こうやま》さんは、ものすごく困っていた。

ケータイがつながらなくなったので、連絡がとれない…

どうしよう…

さらにその上に、非常事態が発生した。

きょう昼ごろに放送された『ひるおび』と『ゴゴスマ』(ふたつともTBS系のワイドショー番組)で長野県にある合宿免許で有名な自動車教習所の職員の男が旧友のヤクザがいる暴力団の組長とナンバーツーの男3人と一緒に撮影した写真が写真週刊誌に掲載されたと言うニュースが報じられた。

そのニュースは、日刊ゲンダイ(タブロイド夕刊)でも中京スポーツ(東スポ系の夕刊)でも報じられた。

あいつは、チンピラたちを利用するだけ利用した…

あいつは、チンピラたちに利用される危険をはらんでいることが全く分からないようだ…

そのうち、あいつはチンピラたちに命《どたま》かち割られると思う…

その日の夜であった。

アタシがバイトをしているローソンに、神山《こうやま》さんがやって来た。

神山《こうやま》さんは、アタシにめんどいことを言うたので頭にきた。

アタシは、新しく来たお弁当を陳列ケースに並べながら神山《こうやま》さんに怒った。

「あのね!!アタシはあいつが交通事故に遭おうがヤクザの拳銃《チャカ》で命《どたま》ぶち抜かれようがどうなってもいいのよ!!アタシは思い切りキレているのよ!!アタシはバイト中で忙しいから帰ってよ!!」
「こずえ…どうしてひろつぐさんにひどいことを言うのかな…ひろつぐさんはこずえに去られたので泣いているのだよ…」
「あいつは女々しいわよ!!あいつが助けを求めてもアタシは一切助けないわよ!!」
「こずえ…こずえ…」
「何なのよクソッタレジジイ!!アタシにいちゃもんつける気ね!!」
「私は…その…」
「帰ってよ!!帰らないのだったら店長を呼ぶわよ!!」

アタシは、神山《こうやま》さんにあかんべーした後、バイトを再開した。

アタシは、あいつらに対する怒りのレベルを一気に5段階上げた。

アタシは、あいつらの家の親類縁者たち全員を血の池地獄に沈めて焼き殺すわよ!!

このうらみつらみを早いうちに全部はらさなきゃ…

アタシの気持ちは、ひどくあせっていた。
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