【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第91話
東京に再び来てから数日後のことであった。

アタシは、名古屋のデリヘル店にいた時に仲良しだったコが暮らしているアパートに転がりこんだ。

その後、仲良しだったコの紹介で再びバイト生活を始めた。

朝は、湯島3丁目にあるカプセルホテルのリネンのお仕事…

昼は、上野駅付近にあるエスパス日拓(パチンコ屋さん)のフロアと水回り清掃のお仕事…

夜は上野3丁目のローソンのお仕事…

…の3つをかけもちしておカネを稼ぐことにした。

足りない分は、東京ドームでプロ野球の試合が開催される日に内野スタンドでビールの売り子さんをしたり、都内のデリヘル店などで働くことにした。

一定の額のおカネがたまったら、九州へ向かう予定である。

今のアタシは、あいつらに対するうらみつらみを完全に晴らすことしか頭にない…

例え、あいつらがお願いしてアタシはあの家には絶対に戻らない!!

どんなにわびても、アタシはあいつを一生うらみ通すわよ!!

その一方であった。

アタシに去られたあいつは、ひどく気落ちしたようだ。

夕方5時半過ぎのことであった。

あいつは、利根川の河川敷の公園のベンチにひとりぼっちで座っていた。

そんな時であった。

あいつが勤務している職場の近くのクリーニング屋さんで事務の仕事をしている静子(24歳)があいつの元にやって来た。

静子は、あいつに優しく声をかけた。

「はるよしさん。」
「静子…」
「どうしたの…」
「静子…むなしいのだよ…」
「奥さんと離婚したことが原因で、気持ちがむなしいのね…」
「静子…」

静子は、あいつの背中を優しく抱きしめながら言うた。

「はるよしさん…アタシが、お嫁さんになってあげる…アタシ…あなたのそばにいたいの…」

あいつは、静子の優しさにかんきわまって泣いた。

その日の夜、ふたりはJR潮来駅《いたこえき》の近くにあるラブホへ行った。

ベッドの上にいるふたりは、全裸《はだか》になって激しく求めあった。

静子は、あいつをかけて愛して行こうと硬《かた》く訣意《けつい》した。

同時に、職場の人から紹介されたお見合い相手の男性と訣別することを訣《き》めた。

それから7日後であった。

あいつは、静子と強引に入籍した。

婚姻届を市役所に出したあと、あいつは静子を連れて家に帰って来た。

あいつは、義母に静子を紹介した後『こずえとはきれいに別れた…』と突き放すような声で言うた。

義母はけん、あいつに対してどうして勝手なことをしたのかと問い詰めた。

あいつは『オレが結婚できない原因を作っておいて、なんだよ!?』と居直った声で言うた。

義母は、対処することができなくなった。

あいつのわがままに屈した義母は、静子と入籍することを泣く泣く認めた。

それなのに、あいつは2日目にあっさりと放棄した。

その後、あいつは他の女と平気で浮気をするようになった。

そして、ソコナシ沼に落ち込んでズルズルと引きずられた…

アタシは、どうしようもないクソ野郎になったあいつを助けることはできないわよ!!

どんなに助けを求めても、アタシはあいつを一切助けないからね!!
< 91 / 95 >

この作品をシェア

pagetop