クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ

1.許嫁と新しい春



空手では目にも止まらぬ素速い蹴りと突きで、相手を翻弄する。
剣道では一瞬の隙を見逃さず、相手の懐に潜り込んで瞬時に竹刀を振り下ろす。

素人目でも鮮やかすぎて、息を呑んで見惚れてしまうくらい。


「九竜くんカッコイイ!!」


更には芸能人と言われても納得してしまうくらいのイケメンで、常に女子の視線を一心に集めてる。


「……。」


本人は女子たちの熱い視線にも、黄色い歓声にも見向きもしないけど、それがまたクールで硬派だと大人気。

これが学校での彼の姿。
でも、



「あ、あの、蒼永…」
「ん?」
「そ、そろそろ離してほしいんだけど…!」
「やだ」


私の前では大違い。
起きぬけに後ろから抱きしめられたと思えば、そのままなかなか離してくれない。

これから朝ごはんの準備をしようとしてたのに、何もできない。
それどころか、耳朶を甘噛みされたり頬や首筋にキスしてきたり…!


「ひゃ…っ、やめて…!」


朝から甘々モードがすごすぎる…!!


< 1 / 200 >

この作品をシェア

pagetop