クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ


めちゃくちゃ心配してたのに、パパってば!!
頼りになるけどちょっと抜けてるところ、私のパパって感じがする。


「…ごめんね。ひと段落してから深夜バスで京都に行くことにしたから、本当にバタバタで」

「深夜バスで来たの!?」

「朝から行くならバスしかなかったから」

「疲れてない?ちゃんと寝れた?」

「大丈夫」


そう言って蒼永は私を抱き寄せる。


「早く咲玖に会いたかったから…」

「蒼永…気持ちは嬉しいけど、無理しちゃダメだよ!?蒼永まで体壊しちゃう!」

「大丈夫」

「大丈夫じゃないでしょ!」

「怒ってる?」

「お、怒ってないけど……」


本音はめちゃくちゃ嬉しいけど、でも無理はして欲しくないわけで……。
蒼永に何かあったら、私は――……


「すごく、心配した…っ」

「うん」

「でもよかった…おじいさまが元気そうで」

「うん、もうめちゃくちゃ元気だよ」

「……なんで帰って来てくれたの?」

「咲玖の傍にいたかったから」


今は私を優先してくれなくてもいいのに、って思う気持ちとそれでも来てくれて嬉しいって気持ちが混濁して、言葉にならなくて――そんな想いを頬に口付けた。


「……そこじゃなくない?」


顎を持ち上げられ、ここだよって言われてるみたいに唇を塞がれる。

ここは外で、早朝とはいえ誰かが来るかもしれない。
先生にでも見つかったら大変なのに――

お願い、誰にも見つからないで。
今だけは二人だけの甘い時間を堪能させて欲しいの――……


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