愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
ソフィアが一生懸命言い訳を並べている様子を
エルマーは微笑ましく見ていた。

確かにいろいろもらったけど、
とりあえず受け取っただけで、
誰が何をくれたかなんて覚えてない。
去年貰ったものも部屋の隅に放置されたままだ。

「ソフィアも何かプレゼントしてくれようと思ったの?」
エルマーが尋ねると、ソフィアはコクリと頷く。
でも何が良いか分からなくて、
と小さな声でブツブツ言っている。

「じゃあこっちに来て。」
ソフィアを目の前に立たせると、
目をつぶるように指示する。
ソフィアは素直に目を閉じた。
そのソフィアの唇にエルマーは自分の唇を重ねた。

チュッ。
そのリップ音にソフィアが目をまん丸に見開く。
「誕生日プレゼントありがとう。」
「んーーーーー」
ソフィアが声にならない声を上げる一方で、
エルマーは涼しい顔だ。
「誕生日だから、もう1回もらっとこうかな。」
エルマーはそう言うと、
もう一度ソフィアの唇を奪った。
今度は触れるだけではなくて、
唇を吸うような濃厚なキスだった。

「ん、ご馳走さま。」
余裕たっぷりのエルマーは
茹でダコのように真っ赤になっているソフィアの手を引いて、
ソフイアに割り当てられている部屋まで見送った。
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