愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~

幸せな報告

翌日、エルマーはソフィアを連れ立って
国王夫妻の元を訪れる。
シュトラウス公爵ともあろうものが、
舞踏会をすっぽかしたのだ。
やはり非礼は詫びなければならない。

普段と表情が変わらない国王と違って、
王妃はニコニコしている。
きっともう感づいているのだろう。
「国王陛下、王妃陛下。おはようございます。」
「おはよう。」
「おはよう、シュトラウス公爵。それにソフィアも。今日は良い朝ね。」
「昨日は王妃様主催の舞踏会にご招待いただいていたにもかかわらず、ほとんど出席もせず、大変失礼しました。非礼をお詫びいたします。」
「あら、そんなこと。」
エルマーの謝罪にも、ジゼルはニコニコだ。
「シュトラウス公爵にとったら、舞踏会より大事なことがあったのでしょう?私も大切な侍女が幸せになることは嬉しいことです。何も気にしていませんよ。」
ジゼルは興味津々という感じでエルマーとソフィアを交互に見つめる。

「で、わざわざアンシュッツ子爵令嬢を伴っているからには何か報告があるんだろ?」
それまで黙っていたユリウスが発言する。
「その通りです。この度、私エルマー・フォン・シュトラウスはソフィア・フォン・アンシュッツ子爵令嬢と結婚を決意しましたので、両陛下にご報告に参りました。」
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