政略結婚は純愛のように〜子育て編〜
その1 やわらかな幸せに包まれて
天使のような可愛い寝息がすぴすぴと規則的になったのを確認して、由梨はそっと身を離す。長いまつ毛とふっくらとした頬に口もとに笑みが浮かんだ。
思わずもう一度、頬を近づけるとお日さまのような懐かしいような匂いがする。ふわふわした黒い髪にキスを落として、音を立てないようにベッドを出る。
今沙羅が寝ているのは、もともとは隆之とふたりで使っていた大きな夫婦のベッド。ここに沙羅が落ちないようにぐるりと柵をつけて、今は夫婦三人で寝ている。
なるべく音を立てないように由梨は寝室を出る。
生後三カ月になった沙羅は睡眠のリズムが整いつつある。この時間に寝れば、夜中までは起きないはずだ。
でも念のため彼女が泣いたらすぐにわかるように少しだけドアを開けたままにして、振り返るとキッチンから人の気配がする。
行ってみると隆之だった。
まだスーツのまま由梨が作っておいた夕食を温めているようだ。
「おかえりなさい」
声をかけると振り返り微笑んだ。
「ただいま、沙羅は寝た?」
「はい、隆之さん、帰ってたんですね。気がつかなくてごめんなさい」
沙羅を寝かしつけるために小一時間、寝室にいた。
どのタイミングで彼が帰ってきていたのかは不明だが、まったく気がつかなかった。
思わずもう一度、頬を近づけるとお日さまのような懐かしいような匂いがする。ふわふわした黒い髪にキスを落として、音を立てないようにベッドを出る。
今沙羅が寝ているのは、もともとは隆之とふたりで使っていた大きな夫婦のベッド。ここに沙羅が落ちないようにぐるりと柵をつけて、今は夫婦三人で寝ている。
なるべく音を立てないように由梨は寝室を出る。
生後三カ月になった沙羅は睡眠のリズムが整いつつある。この時間に寝れば、夜中までは起きないはずだ。
でも念のため彼女が泣いたらすぐにわかるように少しだけドアを開けたままにして、振り返るとキッチンから人の気配がする。
行ってみると隆之だった。
まだスーツのまま由梨が作っておいた夕食を温めているようだ。
「おかえりなさい」
声をかけると振り返り微笑んだ。
「ただいま、沙羅は寝た?」
「はい、隆之さん、帰ってたんですね。気がつかなくてごめんなさい」
沙羅を寝かしつけるために小一時間、寝室にいた。
どのタイミングで彼が帰ってきていたのかは不明だが、まったく気がつかなかった。
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