さくらの記憶
第九章 5月2日
「さくら、俺、明日から5日間連休なんだ」

翌朝、会社に出掛ける北斗を玄関先で見送っていると、北斗が聞いてきた。

「どこか行きたい所とかある?」
「またそうやって、私を連れ出そうとしてる?」
「いや、そういうつもりはなくて。ずっと家にいたら退屈かなって思って…」
「全然退屈じゃないです!私、ここから離れませんからね!」
「わ、分かったって。じゃあ、何かやりたいこととか、考えておいてね」

そう言って、北斗は車に乗り込んだ。

「行ってらっしゃい!」

さくらは笑顔で手を振った。

「さてと!お掃除とお洗濯済ませちゃおう」

腕まくりしながら玄関を入る。

そんなさくらを、遠くからじっと見ている人影があった。
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