さくらの記憶
「なんて、そんなはずないですよね。私を命がけで助けてくれたんですもの」

さくらは、北斗の手を握る。

「北斗さんは私の大切な人。たとえ離れていてもどこにいても、ずっと繋がっています」
「さくら…」

北斗の目が潤む。

「じゃあ最後に、私の力を北斗さんに送ります。どうか、早く良くなりますように」

そう言って、北斗のお腹に両手を添えて祈る。

北斗はじんわりと身体が温かくなるのを感じた。

「ありがとう、さくら」

礼を言う北斗にふふっと笑うと、さくらはもう一度口を開いた。

「それと、北斗さんが私のことを覚えていてくれますように…」

そして唇にチュッとキスをした。

北斗は、一気に顔を真っ赤にして固まった。
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