さくらの記憶
第十四章 5月7日
次の日。
さくらは朝からひたすら家事をこなした。

屋敷中を綺麗に掃除し、洗濯や庭の水やりも済ませ、料理をする。

何日分か分からないほど大量におかずを作ると、容器に移して冷蔵庫にしまう。

最後に桜の木に挨拶すると、北斗の祖父を振り返った。

「おじいさん、お世話になりました」
「いや、礼を言うのはこちらの方じゃよ。さくらちゃん、本当にありがとうな」

さくらはギュッと抱きついて別れを言う。

「いつかまた必ず会いに来るからね」
「ああ、待っとるよ」

見えなくなるまで手を振り続けてくれる祖父に、さくらも大きく手を振った。
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