真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう

「ラルフだよ」

「えっ?」

「昔セレスは私の事をラルフお兄様と呼んでいたんだが……


「ラルフお兄様? ……あっ!」 


遠い記憶が甦り、顔が赤くなる。なぜ忘れていたのか……

 ラルフはセレスティーヌにとって初恋の相手であり、ファーストキスの相手だった……外国へ行くと言うラルフを思い、泣き、帰ったら会いに来て! と小さい子のわがままで、駄々をこね、可愛らしいキスをした……この場所で!


「どうしよう……恥ずかしくて」

 かぁーっと赤い顔を両手で隠す。

「会いに来たよセレスティーヌ、ただいま」

「……おかえりなさい、ラルフお兄様」

「なんで待ってくれなかったのか……サロモンなんかと婚約して……」

 はぁっと溜息を吐くラルフ。

「だって……」

「そうだよな、セレスは小さかったからな……それでも可愛いセレスの願いを叶えたかった。私の願いでもある、ずっと君のことを思っていたよセレスティーヌ」

「ラルフお兄様……」

 見つめ合う二人。

「ねぇセレスティーヌ、まだ考えられないかも知れないけど、会えない間も君のことを好きだった、いつか気持ちを聞かせてくれる?」

「……はい」

「サロモンの事をまだ好き?」

 ふるふると頭を振る。

「そうなのか…?」
< 43 / 88 >

この作品をシェア

pagetop