真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう

ラルフ

 国を出てから四年が経った。

 次の国へ行く前に一度父上に報告に帰るか…あまり人目に付きたくないので、帰ると言う事は一部の者しか知らない。

 父上と母上、それに兄上にこれまでの経緯を話し疲れた身体を休ませる為に自室へと向かうと、どこからか楽しそうな声が聞こえる。サロモンか…
 たった四年のうちに大きくなった…隣にいるのは……間違いないあの髪、笑い顔はセレスティーヌだ。声をかけたい気持ちを抑えて、自室に戻り、また旅の支度をする。三カ国目か…

 来年エドワールが王太子になる。がその後すぐに帰ってくるわけにはいかないな…私と甥であるエドワールの歳が近いせいで次の王太子への意見が割れている。エドワール派はもちろんラルフ派も大勢いる。私自身は王太子の座を狙ってなどいない。あくまでも、私の我儘で遊学と言う形で収まった。兄や義姉には申し訳ないと何度も言われた。これで良いんだ…
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