悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 前世では先輩がいつも邪魔な存在だった。

 仕事ができて、他の社員からも信頼されて、美人で、優しそうな恋人もいて、なにもかも手にしていた。
 私にあるのは、若さとかわいい見た目だけ。それだって期間限定だ。だから全部持ってる先輩が妬ましかった。

 仕事をしても誰も褒めてくれないし、先輩を見習えと言われるばかりで、私の方がいい女なんだって認めさせたかった。

 それなのに、先輩の恋人を寝取ってもため息ひとつ吐いただけで悔しがらなかった。

 課長には先輩からパワハラを受けているけど、私の努力が足りないからと泣きつき徐々に私の味方にしてやった。仕事も信頼も壊したのは私なのにありがとうなんて言われて、子供じみた自分が余計に惨めになった。

 やっと先輩から全部奪って、これから私が一番になると思っていたのに。あの逆恨み店主に刺されて呆気なく死んでしまった。

 ぼやけていく太陽を見つめながら最後に思ったのは。

 ——やり直したい。今度こそ、いつも私が一番でいられるところでやり直したい。

 そう強く願った。



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