悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 私は前世を日本人として生きていた。独身アラフォーのOL、いわゆる枯れ女だった。

 一応、彼氏だっていたことはあったけど、デート代はすべて私持ちだったり、無職で浮気男だったり、DV男だったりとあまりいい記憶がない。まあ、男運がなかったともいえる。

 さらに幸薄そうな見た目が災いし、愛人の誘いや本命の彼女がいるけどなんて二股前提の男もいた。
 すっかり男性不審になった私は婚期を逃してしまった。会社と自宅を往復するだけで、本当に枯れたような生活を送っていた。

 そんな生活の中で唯一の癒しはたったひとりの家族、十歳下の妹の美華(みか)の存在だった。

 両親は私が社会人になったばかりの頃に事故で他界していたから、美華とは助け合って暮らしていた。
 美華は両親の保険金で大学に通い、無事に卒業して正社員として就職することができた。生活に余裕はなかったけれど、姉妹での生活は楽しかった。

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