悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 フレッドが用意してくれている間、そわそわしながらもおとなしく椅子に座って待っている。十分ほどで、大きな皿にこんもりと盛られたカレーライスが運ばれてきた。

 ひと口頬張ってみると、刺激的な香辛料の香りが口の中いっぱいに広がって、塊のお肉が驚くほど柔らかくほろほろと崩れていく。ピリッとした辛さと煮込まれた素材の旨みが私の心を揺さぶった。

「本当にカレーだ……! ありえない……!」
「実は妹もこの料理が好きだったのでユーリ様もお好きかと思ったのですが……お口に合いませんでしたか?」
「違うの! あまりの懐か……おいしさに感激していたの! この料理は私も好きだから、これからも定期的に作ってくれる?」
「はい、もちろんです。このような料理でよければ、いくらでも。他に希望はございませんか? うまくできないかもしれませんが、挑戦してみます」

 それならと、あまり手間がかからず失敗の少ない料理をお願いすることにした。
 オムライスとかハンバーグとか、気が付いたら美華によく作ってあげた料理ばかりだったけど。レシピも教えたので今度作ってくれることになった。

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