悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 それだけ言って、私は部屋へダッシュした。

 なんという失態だ。いつもならお風呂に入ってそのまま洗うのに、昨日は浮かれすぎてそのまま出してしまったのだ。

 しかもよりによって総レースのパンツ。普通のフリルたっぷりのパンツより恥ずかしく感じるのはなんでだろう。

 それよりもこんなパンツをフレッドはどんな顔で洗ったのだろうか?
 フレッドに大変申し訳ないことをしたと、己の迂闊さを悔やんだ。でも、照れた様子のフレッドが新鮮でかわいかったのは内緒だ。

 それからは平穏な時間が続き、新商品の売れ行きは好調でますます生活は安定している。好きな時に起きて好きな時に寝て、好きなことだけして過ごしていた。

 しっかりと休んだおかげで、心も体もリラックスできた。そろそろ働くかと思っていた矢先のことだ。珍しくフレッドが私の部屋へやってきた。

「ユーリ様、目的は不明ですが元婚約者のクリストファー殿下がお見えになってます」

 どういうわけか、クリストファー殿下がやってきた。


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