悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 それから懸命に店舗を探して歩いたけれど、そんな都合のいいお店が簡単に見つかるはずもなく、クタクタになって会社に戻った。

 すでに課長と宮田さんは退社していて、嫌味を言われなくてホッとしてしまう。私も営業日報を提出してから帰路についた。

 この半年間、お昼にはできる限り食事しに行って、どんな客層が来店するのか調べつつ、店主との間に信頼を積み重ねてきたつもりだった。どこで間違ったのだろう。

 疲れ切った身体を電車のドアにもたれさせ、流れる景色をぼんやりと見ていた。

 ダメだ、さすがに気持ちが沈みすぎて上がってこない。こんな時は飲むに限る。つまみもたくさん買って、飲もう。
 明日も仕事だけど、飲まなかったら眠れない。

 重だるい身体を引きずるように最寄駅で降り、駅前のスーパーでお酒とつまみを買い込んだ。今日だけは節約なんて気にせずに好きなものを買ってやった。

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