気になる彼はドクターヘリに乗る救急医


 社長のところに納めてる商品、単価を下げろと言ってきたらしい。

 無理なら仕入れ先を変えると部長に迫ってきたようで大慌て。


 こっちも、ギリギリ利益が出る値段で商品を納めてるはず。

 接待ゴルフで機嫌を取って、今まで通りに取引してもらおうと一生懸命。

 すでにライバル会社が動いてる、と噂で耳にしてるから部長も必死だ。


 私は毛先が胸元まである髪をポニーテールに結び、サンバイザーをしてメイクもバッチリきめている。

 短いスカートのゴルフウェアにニーソを履いて、取引相手の機嫌が取れるのかは疑問だけど……

 まあ、部長に言われたとおり相手の社長の機嫌を取りながらコースは周り終えたから、いいとしよう。


「失礼しま~す」


 ゴルフクラブのロビーにある椅子に座り、体を休める社長の背後に立つ私。

 社長は巨漢で太っているせいか、鼻息も荒いし汗もかいてる。

 汗で湿った服に触りたくないけど、ここは我慢。


 私が、ゆっくり肩に両手を乗せようとした時。

 社長が低い声で言ってきた……



「さわるな」



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