図書委員のさいとうさん。
小関絢
最近あいつがかっこよくなった。
隣の席の田村怜央。



先日までお子様だったのに、いきなりなんてゆーか……大人になった?みたいな?
躓いただけで「大丈夫か?」って声掛けてくれたり、先生に頼まれたプリントを職員室から運んでたら「持つよ。」って言ってくれたり……。
前は階段から落ちたときでさえゲラゲラ笑ってたのに!



なんてゆーか、とにかく同級生の中ではダントツ大人。皆も気づき始めてるみたいで、かっこいいって言い出した。



「なんか最近感じ変わったね、どしたの?」



直接聞いてみた。



「そうか?俺は何も変わらない。ただ歳をとっただけさ。経験を積んで、自分を鍛えたらこうなる。」



そう言って笑っていた。
歳をとったって……同い年だよねみんな。
そう言うと、田村くんは笑いながら教えてくれた。



「図書室で本を読むといいよ。」



勉強しろってことかしら?
まぁ、どちらにせよ図書室には行かなければならないから行くけど。



私は図書委員。
月に数回、カウンターの貸出業務や返却された本の整理をしにいく。
ちょうど今日は当番の日だった。



「遅くなりました、すいません。」



「大丈夫よ、今日は宜しくお願い致します。」



にっこりと微笑みながら挨拶してくれた。3年のさいとうさん。
優しくて可愛らしい図書委員の先輩だ。



「今日は本を借りに来る人も少ないから、カウンターで座りながらお話でもしましょうか?」



内緒だよ?と人差し指を唇に当てながらさいとうさんは椅子に座った。
座るとなおさら小さく見える。可愛らしいを通り越して、小動物のよーに可愛がりたい衝動に駆られる……。



「どうかした?」



さいとうさんがキョトンとした目で私を見つめている……。
だめだ、ちゃんとしなきゃ!ふるふると頭を振ったあと、さっき田村くんに言われた話をしてみた。



「いえ、そういえば図書室で本を読めって同じクラスの男子に言われたんですよー。最近感じ変わったねって言ったら!勉強しろってことですかねー?」



「ふふっ、本は人生観を変えるほど影響があるってことね。いいこと言うわね、その男の子。」



にこにこしながらさいとうさんは言った。
図書委員だからそういうことをいってくれる人が増えると嬉しいのかな?



「そうか……そんなすごい本に出会ったから、そう教えてくれたのかなぁ?じゃあ私もなにか探そうかな?」



「あら素敵ね。じゃあせっかくだから私がおすすめの本も1冊どうぞ。」



そういって本を出してくれた。
子供の頃読んだことのある『いばら姫』だ。
懐かしい。



「あ、ありがとうございます。じゃあこれも借りていきます。」



にこっと微笑んで、さいとうさんは貸出カードを手に取った。
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いつも丁寧な字。
私も貸出カードに書くときはなるべく丁寧に書くようにしよっと。



「はい、どうぞ。」



さいとうさんは本を纏めて持てるように、複数貸出用の手提げ袋に入れてくれた。



「ありがとうございます。」



…………18時。
戸締まりはさいとうさんがするから先に帰っていいよと言ってくださったので私はお先に失礼します、と挨拶して帰宅した。






『…………素敵な夢を、絢さん。』










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