図書委員のさいとうさん。
『いばら姫』



懐かしいな。
確かお姫様が生まれたときに、国の魔女を招待したんだけどひとりだけ呼ばなかったんだよね。そしたら招待されなかった魔女に呪われたって話だった。



「さて、読んでみるか……。」



………金のお皿が12枚しかないから13人目の魔女を招待しなかったら、そいつが乗り込んできて15歳のときに紡錘が刺さって死ぬと呪いをかけたのか……。  
いくらなんでも、セコいな。
作るかみんな平等に金のお皿やめればよかったのに。まぁ、それいったらおしまいか……。
そして、呪いを回避するために100年の眠りにつくのか。



しかも、100年寝たから呪いがとけたのであって、王子様のキスで目が覚めたわけではないのか……!
知らなかった!



(ビミョーに違うんだなあ……。)



うん、なかなか面白かった。
これはこれで。
ぱたむ、と本を閉じて私は眠りについた。











小鳥のさえずりが聞こえる。
朝だ、起きなきゃ。



ぱちり、と目を覚ますと……ログハウスのような家に私はいた。
木のベッドから降り、食事を用意して一人で食べる。見えるのはしわしわの手。
片付けるときは魔法。



そう、私は魔女のおばあさんになっていた。



なにこれ、どゆこと?
よくわからないけどやることはわかる。
パンくずを庭の小鳥たちにあげ、話を聞く。



(鳥は空からすべてを見ているからね。
仲良くすると何でも教えてくれるものさ。)



心の中でおばあさんが教えてくれた。
わかるの!?私の存在が!?



(わかるさ、私だって魔女だ。おまえさんが何者かに操られて本の中に入ってきたことくらいはわかる。)



本の中!ここは本の中なの!?
だとしたら、なんの本だ……??
あ、まさか!



(そうさ、『いばら姫』だよ。あんたは本の中に入ってきて、私に取り憑いた。正確に言うと、私の中に入れられたんだけどね。)



入れられた!?
一体誰に!!?



(……わからないのかい?小さな女の子だよ。あんたにこの本を渡していたのが見える……あの子は人間じゃないね。)



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