推しがいるのはナイショです!
「まだ7時前じゃない」
 すとん、と彼の前に座る。
「俺より後だった」
 あ、うん。この男、こういう人だった。

 久遠の前には、とっくに空になったアイスコーヒーのカップ。
「あんた、いつからいるのよ」
「るなよりは早いな」
 呼ばれた名前にぎくりとする。
 嘘の名前を信じてくれていることには、やっぱり後ろめたさを感じる。
 でも、この人のこと、まだ信用したわけじゃないからね。

「ここは一人でも大丈夫なの?」
「飲み物だけならな」
 言いながら、久遠はポケットから無造作にBRのケースを取り出した。

「ほら」
「あ、ありがと」
 冷静に受け取るけど、心の中では狂喜乱舞だ。
 うわー! これ、見たかったのよー! すごい、ジャケットの写真、かっこいい! 顔は写ってないけど。
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