推しがいるのはナイショです!
『はあ? もっと若いと思ってた。見た目詐欺じゃん』
 そこまではっきり言われたこともある。失礼なそいつは、何も言えない私に代わって留美がぼこぼこに言い負かしてくれたけど。
 だから童顔は私のコンプレックスだ。

「気にすんなよ」
 ふいに、久遠が私の眼鏡を取り上げる。
「あ、返して!」
「俺の前では眼鏡禁止」
 取り上げた眼鏡を自分でかけて、久遠は言った。

「俺は、素のままのるながいい。怒って笑って喜んで、くるくる変わる表情のるなが一番」
 とくん。
 そう、言ってくれるのは嬉しい。
 でも。
 あなたは私の本当の名前すら知らない。

「おら、いくぞ。腹減った」
 立ち上がった久遠に、私も気を取りなおす。
 マスクをつけてカップを片付けるその後ろ姿を見て、誰に似てるか思い出した。

「そっか。クウヤに似てるんだ」
 うっかり呟いてしまった私の声に気づいて、久遠が振り向いた。
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