推しがいるのはナイショです!
 久遠は彼氏でもないし五十嵐課長の事をそんな風に言われるのも心外だし。
 けど。目を丸くして高塚さんを見る久遠に、胸がざわめいた。
 やっぱり久遠も、高塚さんみたいなかわいい子がいいのかな。

「名前……」
 久遠が小さく呟いた。そう、名前……

 あっ!

 そこであることに気づいて、ざ、と私の血の気がひいた。
「水無瀬……?」
 久遠は、高塚さんではなく私を見ていた。
 それは、久遠が知らない私の名前だ。

「あの、久遠、これは……」
「くおんさんていうんですかあ? 素敵なお名前ですね。よかったら……」
「うるせえ」
 ふいに、久遠が低い声で言った。

「え?」
「うるせえって言ってんだ。どけよ」
 すりよってきた高塚さんを押しのけて、久遠はカフェから出ていく。

「待ってよ、久遠」
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