転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
カラーン!

授業終了の鐘が鳴り、教科書を手に持ったノア様が通りかかった。

「また騒がしいけど、今度はどうしたの?」

「恋のライバルの登場さ」

「へぇ。あの人、臨時の美術教師だよね?確か画家の」

「そうだね。レオ・アスター様と言えば、若手の有名な画家だ。まぁ、しばらく様子を見ようよ」

ルイも教室の中央で起きている恋模様を見守っていた。


「クレア、一緒に帰ろう。今日はアリストロ家に行く予定なんだ」

「なっ!」

「いいけど……私も聞きたいことがあるわ」

ええ!? クレア!?

「良かった!話したいことがたくさんあるよ。本当に会うのは久しぶりだね。手紙はお互いによく出していたけど」

くっ!
仲がいいアピールしてきたな。

「またあとで」

アスター先生は優しい瞳で見つめてクレアの頭を撫でた。


帰りはクスフォード家の馬車にルイ、シェイラ、僕。
アリストロ家の馬車にクレアと先生という組み合わせになってしまった。
どうして!?

なんだか調子が狂うな、アスター先生。
ニコリと優雅に微笑みながらも妙な圧を感じる…。
僕は馬車の中で沈んでいた。

「だから早くしろって言っただろ?」

「うん……」

呆れ顔のルイに力なく答える。

「シェイラもアスター先生と親しいの?」

ルイがシェイラの腰にグイッと手を回して聞いている。

「馬車に乗る前に何か話てたよね。とても親密そうに」

「え、あの……それは」

「何? 言わないとこのままキスするよ?」

「ええ!? 待って!? あの……」

「何?」

さらに近づくルイに顔を赤くするシェイラ。

僕はプルプルと震えながら叫ぶ!

「もう!僕の前でやめてよ!!」

目の前でこんなの見ちゃったら、クレアとアスター先生の様子が気になる!!

僕もアリストロ家の馬車に乗っていれば!!
でも『まさか久しぶりの再会を邪魔なんてしないよね?』って釘さされた。

「ルカ、大丈夫だよ。学園と屋敷のこんな近い距離じゃ何もできないから」

「ルイッ!!」

「君達が仲がいいのは分かったよ……」

さっきから何を見せられているんだか。
僕は赤い顔でため息をついた。



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