転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「なるほどね。クスフォード家の楽団の公演会で話をしていたのもジェイク様のことだったんだね」

チラリとあのふたりを見ながらヘンリー様が僕に言う。

最初は皆同じテーブルでお茶をしていたけど、あのふたりの話が盛り上がってきたのでそっと離れて違うテーブルにいる。
話が専門的でマニアック過ぎてついていけないというのもある。

「今日の為に手に入れたい茶葉があると言っていたよ。ジェイク様にぜひ飲んでもらいたいって」

僕は思い出して微笑みながら話をする。

「クレア様もこれで一安心ね。心配してたでしょ? あら、本当に美味しいわね、この紅茶」

「本当だね。僕の婚約者にプレゼントしたいな。あとでどこで手に入るか教えてもらおう」

「爽やか好青年の仮面を被ったケダモノのプレゼント攻撃…」

ポツリと小声でルイが何かを言った。

「ちょっとルイ様!小声でもおかしなこと言わないでよ!純粋にプレゼントしたいだけだよ!ピュアな心だよ!」

「ええ?本当に?」

「シェイラ様!気をつけて!ルイ様こそ本当の……」
「僕の可愛いシェイラに変なこと言わないで!シェイラ、あちらのソファーに行こうか」

「え、ええ」

ヘンリー様の言葉を遮ってルイが立ち上がり、シェイラの手を取って移動した。

「可愛いルカ様はあんな風にならないでよね」

「え?可愛いって。ヘンリー様はおかしなことを言うね」

何を言っているのと僕は笑い、マカロンを食べる。

「んん!クレア、このマカロン美味しいよ!」

僕はふにゃりと顔を緩ませる。

「麗しの王子様は甘党……。普段は大人っぽくて色気も漂う外見の貴公子なのに…。何その笑顔…やられたッ!」

額を手で押さえて俯くヘンリー様。

「ヘンリー様も琉翔の魅力にハマってきたようね」

「はぁ?真璃愛何言ってんの?」

そんな僕達を見てクスクスと笑っているクレア。

「フロックス様のこと、不安にさせてごめんね、クレア」

「誤解だって分かったからもう大丈夫よ。私もあのおふたりを応援したいわ」

「ありがとう。そうだね、趣味が合うふたりだしね」

まだお茶の話は尽きそうにない楽しそうなフロックス様とジェイク様を見て、「お似合いだね」とクレアと微笑んだ。


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