転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「あれ？上手だね。それ、澪音の曲だよね？」

前世で流行っていたし、音楽番組で僕とルイも澪音と一緒に歌う仕事があったから覚えている。

「あ、次は僕達『ツインズ』の曲だ！」

「おまえらの曲はめちゃくちゃ流行っていたからなぁ。よく覚えているよ。いい曲だったしな。でもやっぱ普段から弾かないと腕は鈍るな」

懐かしい話をして３人で盛り上がったら、余計に踊りたくなってきた！
貴重な楽器がある音楽室で踊るわけにはいかない。

「ねぇ！レッスン室に行こうよ！」

「踊りたくなってきたの？ルカ」

「うん！ルイもでしょ？」

「ったく！しょうがねぇなぁ。ピアノは弾いてやるからその前に少し練習させろ！楽譜も見せろ！」

「やった！はい楽譜。あれ？ルイ、ヴァイオリン弾くの？」

ヴァイオリンを持ち、構えている。

「澪音を待っているあいだにね」

久しぶりに聴くルイの音色。
綺麗な音だ。

「僕も弾くよ！」

ルイとふたりで澪音のピアノに合わせて弾き始める。

「…麗しの王子様達はヴァイオリンを弾く姿も様になるな。ちょっと格好良すぎじゃねぇか？」

クックと笑っている澪音。

３人の音色が響き、広がる。

庭園を仲睦まじく散歩をしていたクスフォード家当主のラークと妻のサフィアは足を止めて耳を澄ませた。
屋敷の音楽室の方を見上げる。

「おや、今日はピアノにヴァイオリンだね」

「とても楽しそうな音ね、あなた」

音楽と共に歴史を繋ぐクスフォード侯爵家。
今日も素敵な音がこの家に刻まれる。
そして、屋敷にいる人々が笑顔になる。

「音楽は本当に素晴らしいね」