転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
音楽祭

夏期休暇も終わり、フラワード学園ではそろそろ音楽祭の季節になる。
音楽好きな生徒達の希望で音楽祭は数年前から始まり、学園祭と交互に開催されているそうだ。
フラワード学園の催し物は大規模に開催されると有名で、毎年生徒達が楽しみにしている。

昨年は学園祭だったので今年は音楽祭。
初日は各クラスで考えた音楽を発表し、2日目は音楽を楽しみながらダンスパーティーが開催される。

「では、音楽祭の実行委員を決めたいと思います。誰か立候補者はいますか?」

学級委員長のルイが教壇の前で皆に聞いている。

「はいッ!!」

フラン様が意気揚々と手を挙げた。

「……他にはいませんか?」

チラリとフラン様を見てから教室を見回したルイ。

「ちょっと琉生くん!」

まだしつこく手を挙げているフラン様は真璃愛と仲が良いだけあって強引さも似ている。

「……フラン様しかいませんか?」

フゥと諦めたように呟いた。

「あ、ジェイク様も立候補してくださると!」

僕のうしろの席のジェイク様を見ながら嬉しそうな顔をするルイ。

「えっ!?ジェイク様?」

ジェイク様が立候補したの?
僕はうしろを振り向いた。

「……眼鏡を触っただけですが?」

何を言っているのと真顔でルイを見ている。

「先日新しい茶葉が手に入ったんだけど…」

ルイはニコリと微笑んでジェイク様に聞こえるように言う。

「実行委員引き受けましょう」

「ありがとうございます。できるだけフラン様の暴走を止めてくださると嬉しいです」

微笑み合うルイとジェイク様。

「ちょっと琉生くん!どういう意味!?」

席を立ってルイに抗議しているけど、執事喫茶のこともあったのでルイの気持ちも分かる。
ジェイク様は執事喫茶にも協力してくれたし、優しい人なんだよね。
そんなふたりが音楽祭実行委員に決まった。

「また後日、このクラスでの音楽祭の発表を何にするか決めたいと思いますので、皆様も考えておいてください」

授業終了の鐘が鳴り、皆が帰りの支度を始めてザワザワと話ながら席を立つ。
ルイが自分の席へ向かいながら、ヘンリー様の席の横で立ち止まった。

「ヘンリー様!何居眠りしてんの?もう終わったよ!」

頬杖をついてウトウトしていたヘンリー様に声を掛けている。

「あ、ごめんね。昨日夜更かししちゃったから…」

目を擦りながらルイに説明するヘンリー様。

「…やっぱりケダモ」
「違うからね!クレア様に薦めていただいた本が面白かったから読んでいたんだよ!!」

夏期休暇中にさらに仲良くなったよね、あのふたり。




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