転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「クレア、帰ろうか」

「ええ。少し待っててね」

鞄の中にノートや筆記用具を急いで片付けている。

「ゆっくりでいいよ」

僕はそんなクレアを甘く見つめながら待つ。

「……そんなに見られているとやりにくいわ」

頬を赤くして僕をチラリと見たクレア。

「え、ごめんね。可愛くて、つい」

僕の言葉にさらに赤くなっている。
どうしよう。僕の彼女、今日も可愛い。

夏期休暇中に違う相手と噂のあったふたりだが、夏期休暇が明けるとこの甘々ぶり。
このふたりを応援していたクラスの皆は良かったねと胸を撫で下ろしたものの、甘すぎて見ていられなくなってきた。
赤面したり、自分も早く恋人を見つけたいと思ったり、麗しの王子様にこんなに愛されているクレアを羨ましいと思ったり。
音楽祭のダンスパーティーでは恋人を見つけるチャンス!と皆気合いが入っている。

「ルカ様の溺愛ぶりが日に日に増してきているような気がするね」

「フフフッ。そうだね。さあ、僕も愛しのシェイラを迎えに行こう。じゃあね、ヘンリー様」


帰りの馬車の中で音楽祭の話をする。

「シェイラのクラスは何をするか決まったの?」

ルイ、距離が近ッ!!
シェイラの手を握り、顔を近づけて甘く見つめている。

……目の前にいる僕とクレアは目のやり場に困るけど、いつものことなんだよね。

「ルイ!ちょっと離れて!」

赤い顔で怒っているシェイラとニコニコしているルイのやり取りもいつのものこと。

「もう!…私のクラスは楽器が得意な生徒達が数名で演奏を披露するわ」

「そうなんだ。やっぱりそういうクラスが多いよね。音楽祭のメインは2日目のダンスパーティーだから、1日目は音楽が得意な生徒達が参加するって感じだね」

「シェイラはどうするの?」

「…分かってて聞いてるでしょ?私は楽器は苦手だから演奏には参加しないわ」

「そっか。じゃあ、僕達のクラスのも見に来てね」

微笑みながら手の甲にキスをしているルイ。
僕とクレアの存在を忘れてない?

「…それ以上はここでしないでね」

ルイに一応言っておく。

「音楽祭の話をするから同じ馬車に乗ったけど、やっぱり別々に乗れば良かったかな…」

クレアにこっそりと伝える。

「そ、そうね……」

赤い顔でクレアも頷いた。



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