転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
そして明日は音楽祭初日。
学園からアリストロ家にクレア達を送って来たところだ。
ルイはシェイラが植えた秋薔薇を見にシェイラ専用の庭園スペースにふたりで向かった。

僕とクレアもアリストロ家の庭園を手を繋いで散歩している。
秋も深まり、赤や黄色に色づいた落ち葉を踏みしめて歩く。

「あれ?これはお花?ここは植え替えたんだね」

「ええ。お父様が隣国から取り寄せたものなの。珍しい植物らしくて、お姉様が喜んでいたわ」

「そうなんだ。変わった形のお花と葉っぱだね」

不思議な丸い形のお花をマジマジと見てしまう。
最近は練習をしていたから、ふたりでゆっくりと過ごすこんな時間も久し振りだ。

「いよいよ明日はクラス発表の日ね」

「うん。クレアも観に来てね」

「もちろんよ!ふたりの歌とダンスが上手なのは知っているけど、どんなことをするのか楽しみよ!ヘンリー様がふたりはすごいって言っていたのよ!」

クレアが大きな瞳をキラキラさせて僕を見る。

「僕達の大切な曲やダンスなんだけど、あまり馴染みのないものだから驚くかも…」

「そうなの?ますます楽しみだわ!」

この世界では『新ジャンル』の僕達の歌とダンス。
嫌われはしないだろうけど、引かれたらどうしよう。
不安になってきた…。

「クレア、チャージさせて」

僕はクレアをギュッと抱きしめた。

「ちゃーじ?」

「うん。頑張るから力をチャージさせて」

「こうしていればいいの?」

僕をギュッと抱きしめてくれる優しいクレア。

「ありがとう」

しばらくして僕はクレアを見つめる。

「明日のステージのあと、クレアに伝えたいこともあるんだ」

「私に?」

「うん」

「分かったわ」

ニコリと微笑んで僕を見るクレア。

「ステージで君を想って歌うよ」



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