転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

僕はそのまま音楽室で作曲の続きをしながら楽譜を書いたりして過ごしていた。
何かあるとここに来てしまう。

そしてピアノを弾きながら歌う。

それにしても前世で僕達が歌ってきた曲って『愛』や『恋』をテーマにしているものが多かったな。
なのに今、僕はこんなに悩んでるの？

僕はなんだかおかしくてクスリと笑い、大切にしている曲を弾き始める。
前世の頃に僕と琉生が作った、愛する人への気持ちを伝えるバラード曲を。

同じ曲で歌っているのも自分なのに、あの頃とは違う音に聴こえるね。
不思議な気持ちだ。

「僕にだってまだ可能性はあるよね？恋人だとは言ってなかったし！」

もう少し頑張ろう！
よし！元気になってきたぞ！
明るい曲を弾いてさらに気分一新だ！


その頃別の部屋では……


「そういえば、アリストロ伯爵が王都に来られたとか」

「ああ。芸術を愛する仲間が隣に越して来て楽しいよ。ジョージは本や絵画を中心にだけど、最近は食文化にも新たな興味を示しててね。また今度会うのだが、ミッシェル様もどうかな？」

「それはぜひご一緒させていただきたいです」

クスフォード侯爵家当主のラークと音楽団のミッシェルは仕事が一段落したところだ。

「それにしても、やはりルイ様とルカ様は独特な感性があり、この先がとても楽しみですね。未知なる才能にあふれています」

「それは嬉しいね。ミッシェル様のおかげだね。特にルカは音楽室でよくピアノを弾いているよ」

「先程も弾いていましたよ。たぶん今もまだ…」

「そうか…。何かあったかな。あの子は分かりやすいね。でもそんな心も落ち着かせてくれる。音楽は本当に素晴らしいね」

我が子を思って微笑むラークだった。