転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「…あんまりしつこいと玲お兄ちゃんのことを教えないぞ」

「え!? 玲お兄ちゃんですって!?……ま、まさか!!」

「やっぱり知らなかったな」

ニヤリと笑い真璃愛を見る。
僕がすんなり教えないと分かっているから、どうすればいいか考えている。

「くっ!!」

ルカも素直だけど、真璃愛もすぐに顔に出るよね。

「じゃあ、僕達の仕事は終わったし、そろそろ帰るよ」

クルリと真璃愛に背中を向けて帰ろうとする。

「ちょ、ちょっと!ルイ!玲お兄ちゃんはどこにいるの!?」

「さぁね~」

「教えないと毎日クスフォード家に行くわよ!!あと、琉翔の邪魔をしてやるわよ!!琉生にもね!!」

真璃愛はルカとクレアの方を見てニヤリと笑う。

「……本当に来そうだな」

ピタリと足を止めた。

「当たり前じゃん。…あちらにいるのがシェイラ様よね?」

勝ち誇った顔で僕を見る真璃愛。
まったく、本当に変わらないヤツだ。
まぁ、こんなやり取りも久しぶりだ。

「じゃあ、来週にでも連れて行ってあげるよ」

「来週!? 明日じゃダメなワケ!?」

「僕にだって予定があるんだよ。それに玲お兄ちゃんの方が僕達より忙しいんだから」

「じゃあ、明後日は!?」

今度は僕の腕に絡みつき、また強引に約束を取り、アイツは満足した。
そして後日、玲お兄ちゃんのイチオシ堂に3人で行った。

「な、なんてこと!? ここは日本!?」

和風の建物の前で固まっている真璃愛。

「イチオシ堂!? 暖簾!? か、か、漢字!?」

放って置いてお店の中に入る。

「いらっしゃいませ!」

「こんにちは、メリアーナ様。今日は玲お兄ちゃんこちらにいるとお伺いしたのですが」

「お、琉生と琉翔来たのか?」

お店の奥から顔を出してくれた和風の作業着姿の玲お兄ちゃん。

「……そ、その格好!ま、まさか、本当に玲お兄ちゃん…?」

「え?」

真璃愛はダーッと涙を流しながら、遠慮なくお店のカウンターの内側に走って行き、玲お兄ちゃんに抱きついた。

いきなり知らない少女に抱きしめられた玲お兄ちゃんと、それを見ていたメリアーナ様は目を丸くして驚いている。

「玲お兄ちゃんーーー!!真璃愛だよーーー!!」

「ええ!? 真璃愛!?」

「真璃愛ちゃん!?」


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