転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
すると、ガタンッ!と立ち上がる音がしてルイがこっちに来てくれた!

「ああー!それ、僕達が小さな頃にお父様の真似をしていた時のことだよね?僕達は覚えていないんだけど、お父様がお母様に毎日伝えていた言葉を覚えて周りの皆に言っていたみたいなんだよね!ね、ルカ!」

ルイは僕の肩をポンと強めに叩き、そのまま肩を掴む。

「……そ、そう!!僕達のお父様はお母様に毎日愛を伝えてイチャイチャしてるんだよね!ハ、ハハハ……!」

お父様、ごめんなさい!!

「さ、フラン様は席に着いて!先生、授業を始めてください!」

ルイがこの場を取り仕切る!
頼もしい兄、ありがとうー!!

クラスの皆も『なんだ、小さな頃の話か』と納得してくれたようだ。
なんとか授業が始まったが、クレアの様子が気になる……。
せっかくクレアといい感じになってきたと思ったのに!!
もっと頑張るって思った矢先に!

でもクレアの恋人はやっぱり手紙の送り主で、僕のことはなんとも思ってなければ気にならないのかな……。
余計にヘコむ。僕は授業なんて全く頭に入らなかった。

そんな授業が終わるとまたフラン様が僕のところに来た!
今度は何!!?

「琉翔くん!」

ノートを持っていた僕のホクロのある方の右手をパッと握られて驚く。

「えっ!?」

「あの大人っぽいふたりの写真を見た時から琉翔くんの大ファンなの!!そう、この綺麗な手よ!ずっと憧れていたの!」

僕は握られた手をサッと引いた。

「ああっ!琉翔くん!」

手を引かれて残念そうな顔をするフラン様。

「…………」

僕は言葉が出ない。
でもなんて言えばいい?
僕も転生者だとこの場で認めるようなものだ。

隣からカタン……と音がした。
クレアが席を立って俯いている。

「ク、クレア……」

僕は恐る恐るクレアを見るが、綺麗なオレンジブラウンの長い髪に隠れて表情がよく見えない。

クレアは走り出して教室を出て行ってしまった。


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