転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~

4.5ルイとシェイラ

次の授業の教室へと移動する為に廊下を歩いていると、隣の校舎にシェイラがいるのが窓から見えた。
いつも一緒にいるご令嬢と、ニコニコしながら楽しそうに話をしている。

艶やかなストレートの黒髪、目尻が少し上がっている切れ長の茶色の瞳。睫毛も長くキリッとした瞳が特徴的。
だが、小柄なシェイラは可憐で大人しいお嬢様という印象だ。

僕も最初はそういうイメージを持っていた。
打ち解けてくれるまで時間がかかったから、人見知りなのかな?と思っていたら、僕という人柄を知り慣れてくると、いろんな顔を見せてくれるようになった。

普段はよく喋り、可愛らしくよく笑い、怒っている時はツンとそっぽを向いてしまうし、少しお転婆なところもある。
急に何をするか分からない時があって、僕はいつも目が離せない。

「ルイ!見て!私が育てたお花よ!」

庭園にシェイラがいると聞いて向かうと、土で汚れるのも気にせず、花壇の花を手入れしていたシェイラが僕を呼ぶ。

「可愛いね。なかなか咲かないと言っていたお花だね」

「そうなの!この子はお花が開かなくて悩んでいたんだけど、肥料の配合を変えてみたら元気になってくれたわ!」

とてもキラキラした瞳で教えてくれる。
花や植物が好きなシェイラは小さな頃から庭師の仕事を見ているうちに、自分でも育てるようになった。
興味があることには、のめり込むタイプで、庭園にはシェイラ専用のスペースがある。

「フフッ。蕾がいっぱいだね。これからまた楽しみだね、シェイラ」

「ええ!たくさんのお花を開いて見せてくれるわ!とても楽しみよ!」

アリストロ家に新しく入った屋敷の使用人達は、シェイラのこの姿を見て驚くが、古くからいる人達にとってはこれが日常。とても微笑ましくシェイラを見守っている。

僕はシェイラの頬に付いている土をハンカチで拭き、そのまま頬を撫でる。
目を細めて僕を見るシェイラ。

おかげで僕も花と植物に詳しくなってきたよ。
種や苗をプレゼントすると喜んでくれるから、花屋や園芸店の人とも親しくなった。
クスフォード家とアリストロ家の庭師ともね。


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